(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版
1.糖尿病診断の指針
解説
3.血糖基準値
糖尿病型あるいは糖尿病と判定する血糖基準値はどうやって定められたか.1979年のNational Diabetes Data Group,1980年のWHO基準が定められたときは主に2つの根拠があった.糖尿病(2型糖尿病)の頻度が著しく高い集団では血糖値の分布が二峰性になるので,その分布を参考とすること,もうひとつは糖尿病特有の細小血管症,特に網膜症の危険がどの程度の高血糖で増えてくるかである.これによって空腹時血糖値≧140mg/dL,あるいは75g OGTT 2時間値≧200mg/dLであれば「糖尿病」とするという1980年のWHO基準が定められた.日本糖尿病学会の1982年の糖尿病型の定義もこれに準じた1).
1990年代後半になって診断基準の改定が行われた.米国糖尿病学会2),WHO3),日本糖尿病学会4)ともカットオフ値としては同じ数値を採用した.OGTT 2時間値の基準値はそのままとし,空腹時血糖値の基準値を2時間値の基準値に対応するように,≧126mg/dLに引き下げた.
表1は1999年の日本糖尿病学会の血糖基準値である.空腹時血糖値,75g OGTT 2時間値それぞれに正常域と糖尿病域を設け,空腹時と2時間値のどちらかが糖尿病域に入れば糖尿病型,両者とも正常域にあれば正常型,糖尿病型でも正常型でもないものを境界型と定義した4).付帯事項として,随時血糖値が200mg/dL以上の場合を糖尿病型に含めること,正常型であっても1時間値が180mg/dL以上の場合は境界型に準じた取り扱いをすることが記してある.
日本糖尿病学会診断基準検討委員会が表1の数値を選んだ理由は,まず基準値はなるべく国際的に使われているものに合わせたこと,日本のOGTTのデータでも2時間値200mg/dLという基準値に対応する空腹時血糖値の平均値は約125mg/dLであることが示されたためである7).
表1 空腹時血糖値および75g糖負荷試験(OGTT)2時間値の判定基準
(静脈血漿値,mg/dL,括弧内はmmol/L)
随時血糖値≧200mg/dL(≧11.1mmol/L)の場合も糖尿病型とみなす.
正常型であっても,1時間値が180mg/dL(10.0mmol/L)以上の場合は,180mg/dL未満のものに比べて糖尿病に悪化する危険が高いので,境界型に準じた取り扱い(経過観察など)が必要である.
(文献4から引用)
1990年代後半になって診断基準の改定が行われた.米国糖尿病学会2),WHO3),日本糖尿病学会4)ともカットオフ値としては同じ数値を採用した.OGTT 2時間値の基準値はそのままとし,空腹時血糖値の基準値を2時間値の基準値に対応するように,≧126mg/dLに引き下げた.
表1は1999年の日本糖尿病学会の血糖基準値である.空腹時血糖値,75g OGTT 2時間値それぞれに正常域と糖尿病域を設け,空腹時と2時間値のどちらかが糖尿病域に入れば糖尿病型,両者とも正常域にあれば正常型,糖尿病型でも正常型でもないものを境界型と定義した4).付帯事項として,随時血糖値が200mg/dL以上の場合を糖尿病型に含めること,正常型であっても1時間値が180mg/dL以上の場合は境界型に準じた取り扱いをすることが記してある.
日本糖尿病学会診断基準検討委員会が表1の数値を選んだ理由は,まず基準値はなるべく国際的に使われているものに合わせたこと,日本のOGTTのデータでも2時間値200mg/dLという基準値に対応する空腹時血糖値の平均値は約125mg/dLであることが示されたためである7).
表1 空腹時血糖値および75g糖負荷試験(OGTT)2時間値の判定基準
(静脈血漿値,mg/dL,括弧内はmmol/L)
正常域 | 糖尿病域 | |
空腹時血糖値 75g OGTT 2時間値 | <110(6.1) <140(7.8) | ≧126(7.0) ≧200(11.1) |
75g OGTTの判定 | 上記の両者を満たすものを正常型とする | 上記のいずれかを満たすものを糖尿病型とする |
正常型にも糖尿病型にも属さないものを境界型とする |
正常型であっても,1時間値が180mg/dL(10.0mmol/L)以上の場合は,180mg/dL未満のものに比べて糖尿病に悪化する危険が高いので,境界型に準じた取り扱い(経過観察など)が必要である.
(文献4から引用)