(旧版)「喘息ガイドライン作成に関する研究」平成11年度研究報告書/ガイドライン引用文献(2000年まで)簡易版抄録を掲載

 

(8) 薬物

前文

アスピリンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は成人喘息ではかなりの頻度で喘息発作を誘発するが,小児喘息患者では極めて稀である(詳細は6-1「アスピリン喘息」参照)。β遮断薬は内因性のカテコールアミンのβ受容体を遮断し喘息発作を誘発する可能性がある。

推奨:成人喘息患者では,アスピリンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で喘息発作を生じたことがあるかどうかを詳しく問診し,その疑いがあればこれを避ける。またこれらの薬物で重篤な増悪を生ずる可能性があることを説明しておく。非選択的β遮断薬は,点眼薬も含めて使用すべきでない。(A)
科学的証拠

前項と同じ方法で検索し,アスピリンは5年間に232編を,β遮断薬は20年間に18編を検討した。

アセトアミノフェンやサルサラートなどは,比較的安全なアスピリン代替薬である56)。β遮断薬は原則的には喘息患者には使用すべきでないが57),ベタキソロールなどの心臓選択性β遮断薬は使用可能である58)

(RCT)
文献対象試験デザイン
  1. 方法
  2. 観察期間(導入+試験)
  3. その他(効果判定など)
結果評価
Schoeneら57)
1984
9例,成人(25〜69歳)喘息様気管支炎の患者
  1. β遮断薬のチモロール,ベタキソロールの点眼薬と,プラセボの点眼薬を使用する二重盲検クロスオーバー試験
  2. 270分
  3. FEV1.0
  1. チモロールはFEV1.0が低下し,気道病変の患者には副作用を示した
  2. ベタキソロールやプラセボでは,FEV1.0は著変なかった
II-B
結語

成人喘息ではアスピリンや他のNSAIDsで喘息発作を生ずる危険性があり,使用を避ける必要がある。非選択的β遮断薬は使用すべきでない。

 

 
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