(旧版)「喘息ガイドライン作成に関する研究」平成11年度研究報告書/ガイドライン引用文献(2000年まで)簡易版抄録を掲載

 

(4) 運動と過換気

前文

運動は,短時間の喘息発作を引き起こす増悪因子のひとつである。運動誘発喘息はすべての喘息患者に起こる可能性があり,気道よりも冷たく乾燥した空気を過剰に吸入したため,熱や水分が失われるために生じる。また,過換気も運動と同様に増悪因子となる。

推奨:鼻呼吸,マスク着用を心がけ,運動前にはβ2刺激薬の吸入あるいはクロモリンやネドクロミルを吸入し,身体トレーニングや運動の継続的訓練などを組み合わせることが発作誘発の予防になる。(B)
科学的証拠

前項と同じ方法で検索し,10年間に133編を検討した。

β2刺激薬により80%以上の患者で運動誘発喘息発作が予防でき,短時間作用型β2刺激薬を運動前に吸入すると運動誘発喘息発作の予防に2〜3時間は有効であるが,サルメテロールは10〜12時間有効であることが報告されている47)。運動直前にクロモリンやネドクロミルを吸入し,あるいは運動前に長時間の準備運動をすることにより運動誘発喘息発作が予防できる48),49),50)

(RCT)
文献対象試験デザイン
  1. 方法
  2. 観察期間(導入+試験)
  3. その他(効果判定など)
結果評価
Albazzazら48)
1989
10例,
17〜54歳,
軽症
  1. 運動前にネドクロミル4mgあるいは,プラセボ(生食)を吸入する二重盲検試験
  2. 50分
  3. FEV1.0の低下率
ネドクロミルはEIAの予防に有効II-B
Woolleyら50)
1990
12例,
18〜28歳,
軽症,中等症
  1. 運動前にプラセボ,β2アドレナリン受容体刺激薬,テルブタリン,または,クロモリンを単独で,あるいは,組合せて吸入する二重盲検試験
  2. 6時間
  3. FEV1.0の低下率
  1. β2アドレナリン受容体刺激薬とクロモリンの組合せはEIAに有効
II-B
Kempら47)
1994
161例,
12〜35歳,
軽症
  1. 運動前にサルメテロール42μg,あるいは,アルブテロール180μgを吸入する二重盲検試験
  2. 12時間
  3. FEV1.0の最大の減少量
アルブテロールと比較して,サルメテロールは,EIAの予防に有効II-B
Benedictisら49)
1995
13例,小児,
7〜15歳,
軽症,中等症
  1. 運動前にクロモリン10mg,またはネドクロミル4mg,または,プラセボを吸入する二重盲検クロスオーバー試験
  2. 140分
  3. FEV1.0の低下率
  1. クロモリンとネドクロミルは同等にEIAに有効
  2. 効果は2時間未満
II-B
結語

運動や過換気で誘発される喘息発作は,準備運動や前投薬によって予防が可能である。

 

 
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