(旧版)「喘息ガイドライン作成に関する研究」平成11年度研究報告書/ガイドライン引用文献(2000年まで)簡易版抄録を掲載
(5) 食品
前文
食品に含まれる蛋白は,感作抗原として広く認識されている。しかし喘息の発症に寄与する因子としての役割についての明確な根拠は不明である。一方,アレルゲンとしてではなく,喘息の発症に影響を与えると考えられるものとして脂肪酸,マグネシウム,ナトリウムなどがある。
推奨:アトピー素因のある小児は,摂取食品のバランスに気をつけ,動物性脂肪の多量摂取や,不規則な食事を控えるべきである。(C)
科学的証拠
食品と喘息では1,863の文献があったが,129編のコントロール試験が検討できた。
Omega-6系の脂肪酸に対して,Omega-3系の脂肪酸には抗炎症作用があり,喘息患者の症状を改善するとの報告36)と臨床症状に影響を与えないとの報告37)があり,評価は確定していない。また低マグネシウム摂取と気道の反応性亢進とが相関するとの報告38)や,反対にナトリウムの過量摂取が喘息患者の症状を悪化させるとの報告39)もある。
(RCT)
論文コード (年代順) | 対象 | 試験デザイン | 結果 | 評価 |
Dryら36) 1991 | 12例,喘息患者 | N3-fatty acids(FA)とプラセボとの食事療法が肺機能に与える影響を解析する。 9ヶ月 | 9ヶ月のFA食事療法は,有意にFEV1.0を改善した | II-C |
Hodgeら37) 1997 | 32例,8〜12歳 喘息患者 | omega-3群とomega-6群の食事療法が症状,肺機能に与える影響を解析する(二重盲検) 6ヶ月 | omega-3群とomega-6群の食事療法が朝夕の症状,ピークフローに与える影響には有意差がなかった | II-B |
結語
寄与因子としての食品は,不明な点が多い。Omega-6系とOmega-3系の脂肪酸の影響も確立していない。