2 診断・治療 CQ27 PNL の手術手技による合併症の違いはあるか?
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2 診断・治療 CQ27 PNL の手術手技による合併症の違いはあるか?
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推奨/回答
体位による合併症発生率の差はない。腎瘻穿刺法ではX 線透視ガイド下穿刺と超音波ガイド下穿刺との差はないが,拡張法ではバルーンダイレーターで出血が少ない。マルチトラクトとアクセスシースの径は,出血のリスクファクターである。
推奨の強さ
B:エビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。
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推奨/回答
tubeless PNL とtotally tubeless PNL は通常のPNL やsmall-bore PNL と比較して,合併症やstone-free rate に差はみられないが,術後鎮痛薬の減量や,入院期間,社会復帰までの期間の短縮がみられる。
推奨の強さ
A:十分なエビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように強く推奨する。
合併症のリスクファクターは術前因子(患者因子と非患者因子),術中因子に分類する。ここでは術中因子について述べる。
◇術中因子
体位
仰臥位のPNL は腹臥位のPNL と比べて,手術時間は短いが,stone-free rate,輸血と発熱などの合併症は同等である。
腎瘻穿刺法
超音波ガイド下とX 線透視ガイド下の作成があるが,合併症の発生率に有意差はない。しかし超音波ガイド下では入院期間が長い。超音波ガイド下では作成時間は長いが,放射線被曝時間が短い。また超音波ガイド下での作成で,B モードによるガイドとカラードプラーによるものとの比較では,後者が有意に出血率,輸血率が低い。
腎瘻拡張法
バルーン型ダイレーター,テレスコープ型金属ダイレーター,Amplatz 型ダイレーターがある。Amplatz 型ダイレーターはテレスコープ型金属ダイレーターと比較し,stone-free rate と合併症の発生率に有意差はないが,放射線被曝時間が短い。バルーン型ダイレーターはAmplatz 型ダイレーターに比較して出血が少ない。
トラクト数,部位
肋骨上穿刺は肋骨下穿刺に比べて胸部合併症の危険性が高い。またマルチトラクトはシングルトラクトに比べて出血の危険性が高い。
アクセスシースのサイズ
径の増大に比例して出血,輸血のリスクが上昇する。
灌流液
灌流液の体内吸収は,灌流液量,腎盂穿孔,出血,手術時間に影響されるが,トラクト数には関係しない。
腎瘻サイズ
20 Fr 以上の腎瘻カテーテルは,18 Fr 以下のカテーテルに比較して出血や合併症を減少させる。
腎瘻部処置法
術後腎瘻カテーテルを留置しないtubeless PNLは,通常の腎瘻を留置するPNL と比較して,合併症やstone-free rate に差はみられないが,術後鎮痛薬の減量や,入院期間,社会復帰までの期間の短縮がみられる。また,tubeless PNL とsmall-bore PNL(最終的に留置する腎瘻カテーテルが細径であるPNL)の比較でも同様の結果であった。
また,腎瘻カテーテルも尿管ステントも留置しないtotally tubeless PNL も同様に,合併症やstone-free rate に差はみられないが,術後鎮痛薬の減量や,入院期間,社会復帰までの期間の短縮がみられる。
(本文,図表の引用等については,尿路結石症診療ガイドライン 2013年版の本文をご参照ください。)