2 診断・治療 CQ14 小児に対する破砕治療は安全か?

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2 診断・治療 CQ14 小児に対する破砕治療は安全か?
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推奨/回答

PNL,ESWL とTUL は,小児上部尿路結石に対する低侵襲治療として推奨される。

推奨の強さ

B:エビデンスがあり,推奨内容を日常診療で実践するように推奨する。

小児結石治療の特殊性は,体と臓器が成人と比して小さいこと,奇形や代謝異常の合併頻度が高いこと,および対象が成長過程であることである。したがって小児の結石治療は高度な技術のもとに行われることが前提であり,長期的な観察を念頭に置いて治療を選択する必要がある。

治療法の選択
現在では種々の破砕術が開放手術に置き換わっていること,および小児では切開創が相対的に大きくなることから,開放手術は高度の奇形や臓器の変位など,破砕術の施行が困難な場合以外では第1 選択とはならない。
小児上部尿路結石の破砕法では,ESWL またはTUL が推奨されるが,両者をRCT で比較した論文数は十分でないので,優劣はつけられない。
結石の大きさが30 mm を超える場合,PNL が勧められる。ただし35 mm までの結石に対するESWL や,30 mm までの結石に対するTUL もPNL と同等の治療成績が報告されており,熟達した施術者ではこれらも選択肢に入る。PNL 施行に際して大人用の腎盂鏡を使用する報告もあるが,小児用の腎盂鏡を用いた報告でも良好な治療成績を得ているので,小児用の腎盂鏡を用いるのが妥当である。

破砕治療と小児腎の発育
破砕術が小児腎の発育を損なうことはない。ESWL前後にdimercapto-succinic acid(DMSA),diethylene triamine pentaacetic acid(DTPA)を用いた腎シンチグラフィーによる評価では,ESWL 施行後6 か月では,患側腎の瘢痕形成や糸球体濾過率の低下は認められていない。またESWL 施行後1 年目に,同年齢の尿路に異常のない小児の腎と大きさを比べた試験でも両者に差は認められていない。ESWL だけでなくTUL,PNL 施行後の患側腎の発育と大きさを健側腎と比較した観察研究でも,患側腎に発育遅延は見られないと述べられている。以上より,小児腎結石に対する破砕治療は腎発育に影響は与えないことが推測される。

放射線被曝の回避
小児の放射線被曝は必要最小限にするべきである。低線量放射線被曝と発癌リスクの関係が明らかでないものの,被曝線量と発癌リスクは比例するという考えが,安全管理上受け入れられているからである。小児においては結石診断のために行うCT 検査を1 回受けることで、生涯にわたる腹部から骨盤部の発癌リスクが,自然発生癌1,000 例中2,3 例であると推計される。したがって,尿管鏡操作や経皮的操作の際,奇形や尿路狭窄のようなアクセス困難な状況でないならば,レントゲン透視を極力控えるべきである。同様に小児の結石の診断にはまず超音波診断法が推奨される。

(本文,図表の引用等については,尿路結石症診療ガイドライン 2013年版の本文をご参照ください。)

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