2 診断・治療 CQ12 すべてのサンゴ状結石が治療適応か?
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2 診断・治療 CQ12 すべてのサンゴ状結石が治療適応か?
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推奨/回答
サンゴ状結石は,一般的に腎機能の悪化を招くため,積極的治療を行うことが望まれる。
推奨の強さ
C1:エビデンスは十分とはいえないが,日常診療で行ってもよい。
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推奨/回答
サンゴ状結石における標準的患者とは,一般的麻酔および手術を受けることが可能な成人で,初発未治療の放射線不透過性結石をもち,結石が存在する腎臓の機能がほぼ正常に保たれている患者である。
推奨の強さ
C1:エビデンスは十分とはいえないが,日常診療で行ってもよい。
サンゴ状結石は腎盂と腎杯に連続した結石と定義される。しかし,部分サンゴ状結石も含めると,結石のボリュームにはかなり幅ができ,まとめて治療適応を論ずることは困難である。
治療適応
サンゴ状結石を無治療で経過観察した場合,腎機能の悪化を招くことが多く,PNL,ESWL,TUL,開放手術といった積極的治療を行うことが望まれる。したがって,これらの治療を受けることが可能な患者が治療適応となる。逆に,全身状態の悪い高齢者,出血傾向の強い患者,一般的麻酔が不可能な合併症を有している患者などが,治療適応外となる。ただし,シスチン結石,尿酸結石などでの溶解療法は1 つの選択肢となりうる。また,腎盂腎炎もしくは敗血症をきたしている場合は,適切な抗菌薬投与を行い,感染を抑えてから手術を予定しなければならない。
治療の原則
サンゴ状結石治療の原則は完全なstone-free とすることである。残石があれば,再度,サンゴ状となってしまう。治療法として最も推奨されるのはPNL とESWL の併用療法であり,ESWL 単独療法,開放手術は第1 選択とはならない。小さな部分サンゴ状結石ではESWL,PNL,TUL の単独治療も選択肢となりうる。また,高度の腎機能低下例では腎摘除術も選択肢となりうる。
妊婦,小児
妊婦では尿路感染のコントロールがつかない時など,妊娠の継続が困難な場合のみが治療対象となる。その際は放射線被曝に十分な注意が必要である。
小児,特に乳幼児ではいずれの治療法を選択しても全身麻酔が必要となるため,治療適応の判断は慎重に行うべきである。
(本文,図表の引用等については,尿路結石症診療ガイドライン 2013年版の本文をご参照ください。)