無症候でも治療が推奨される腎杯結石
無症候でも治療が推奨される腎杯結石とは,経過観察中に明らかな増大傾向のある結石,腎杯の拡張を伴った結石がまずは考えられる。結石関連事象が発生したとき,5 mm 以下の結石は自然排石する確率が高く,10 mm 以上の結石は何らかの加療が必要となることが多い。10mm 以上の結石は経過観察していると,いずれ結石関連事象が発生し,その際に加療を要することが多いと考えられる。
積極的な治療を考慮する腎杯結石
ただ,上記は単発の基礎疾患のない尿路結石症患者の場合で,複数の結石を認める場合,基礎疾患を認める場合,尿路の形態異常を伴う場合,レントゲン透過性結石の場合,前述の結石関連事象を発生しやすい要因を満たす場合などは,小さな結石であってもより慎重に経過をみる必要があり,積極的な加療を考えてもよい。尿路閉塞を伴わない腎杯結石でも腰痛の原因となっていることがあり,その場合は小さな結石も加療対象である。また尿路感染を伴う結石も加療対象であると考えられる。5 mm 以下の腎杯結石のESWL 後の完全排石率は約90%との報告もあり,症候性の場合には小さな結石も積極的な加療を考える。
尿管結石は通常,疝痛発作や血尿といった症状を伴うが,腎杯結石の多くは無症候である。近年,尿路結石症患者の増加に伴い,健康診断や他疾患精査中に,無症候の尿路結石が発見される機会が増えている。無症候の腎杯結石には積極的な加療を要しない,いわゆる経過をみてよい結石も多数存在する。小径の腎杯結石に対するESWLの完全排石率は28~90%まで報告により様々であるが,腎杯結石ではESWL 後にも砕石片が残る例は少なからず存在する。またESWL による長期的な合併症や腎機能への影響も知られるようになり,不必要な治療は避けるべきである。
無症候の腎杯結石の自然経過
無症候の腎杯結石の自然経過に関する報告では,平均31~60 か月の経過観察で半数以上に結石関連事象が発生するとされていて,その発生率は観察期間に応じて増加していく。たとえ無症候性であったとしても,年に1 度以上の経過観察をしておくことが重要である。結石関連事象が発生しやすい要因として,男性,若年,再発例,増大傾向,結石に関する基礎疾患などが報告されている。上,中,下の腎杯の間では差がないとの報告が多い。
無症候でも治療が推奨される腎杯結石
無症候でも治療が推奨される腎杯結石とは,経過観察中に明らかな増大傾向のある結石,腎杯の拡張を伴った結石がまずは考えられる。結石関連事象が発生したとき,5 mm 以下の結石は自然排石する確率が高く,10 mm 以上の結石は何らかの加療が必要となることが多い。10mm 以上の結石は経過観察していると,いずれ結石関連事象が発生し,その際に加療を要することが多いと考えられる。
積極的な治療を考慮する腎杯結石
ただ,上記は単発の基礎疾患のない尿路結石症患者の場合で,複数の結石を認める場合,基礎疾患を認める場合,尿路の形態異常を伴う場合,レントゲン透過性結石の場合,前述の結石関連事象を発生しやすい要因を満たす場合などは,小さな結石であってもより慎重に経過をみる必要があり,積極的な加療を考えてもよい。尿路閉塞を伴わない腎杯結石でも腰痛の原因となっていることがあり,その場合は小さな結石も加療対象である。また尿路感染を伴う結石も加療対象であると考えられる。5 mm 以下の腎杯結石のESWL 後の完全排石率は約90%との報告もあり,症候性の場合には小さな結石も積極的な加療を考える。
最後に,腎杯結石に対して加療を行う場合,ESWL でさえ侵襲を伴う治療であり,その利点,起こりうる不利益についての十分なインフォームドコンセントが重要であることを強調しておきたい。
(本文,図表の引用等については,尿路結石症診療ガイドライン 2013年版の本文をご参照ください。)