総論 4-4 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV) 11.気管挿管と抜管(神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーション)
CQ/目次項目
総論 4-4 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV) 11.気管挿管と抜管(神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーション)
1
推奨/回答
1.NPPVを行っていても気管挿管を要する場合は,抜管困難となる可能性を考慮したうえで,同意を得て行う。
推奨の強さ
B:行うよう勧められる(少なくとも 1 つのレベルⅡの結果)
2
推奨/回答
2.気管挿管の抜管および再挿管予防に際して,NPPVと排痰を必要に応じて行うように勧められる。
推奨の強さ
C1:行うことを考慮してもよいが,十分な科学的根拠がない
解説

◆気管挿管を要する場合
NPPV と MAC で SpO2 > 94%を維持できない場合,肺炎や無気肺が悪化した場合,気管挿管の適応を考慮する。ただし,抜管困難に陥る可能性もあり,気管切開への移行の可能性も含めて,患者家族の同意を得て行う。
◆抜管(NPPV への移行を含む)
抜管を試みる条件は,酸素付加なし(室内気)の換気補助で SpO2 が 96%以上,胸部 X 線像で無気肺や浸潤影なし,気道分泌物の減少,呼吸抑制作用のある薬剤をほとんど使っていないこと,NPPV へ移行できる人工呼吸器条件であることである。
抜管する前の気管挿管中に,人工呼吸器離脱(ウィーニング)目的に PSV や CPAP にしない。神経筋疾患にとっては,PSV や CPAP は無気肺や呼吸筋疲労を招くばかりでなく,人工呼吸器離脱困難,すなわち抜管困難と判断される危険がある。人工呼吸器を離脱しなくても,抜管後 NPPV に移行することを考慮する。
術後や肺炎後に,ICU でウィーニングトライアルをパスできず,抜管困難と判断された 157 例の神経筋疾患の患者のうち,155 例で,NPPV(VCV か,腹部膨満が出現した少数例に PCV)と MAC で SpO2 > 95%を維持し,抜管に成功した。抜管できなかった 2 例は,CPF が測定限界以下で,気管切開に移行した。そのほかにも同様の VCV の NPPV と MAC を用いた抜管の報告がある。脊髄損傷患者においては,表 7 のような抜管基準が提示されている。
(本文,図表の引用等については,神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドラインの本文をご参照ください。)