RQ3 助産師のケアを受けられるか?

CQ/目次項目
RQ3 助産師のケアを受けられるか?
1
推奨/回答

女性が助産師のケアを自由に選択できる状況が確保する。

推奨の強さ

B:科学的根拠があり、行うよう勧められる

2
推奨/回答

妊娠中のバースプランや、退院後の育児の相談を助産師が担当する。

推奨の強さ

B:科学的根拠があり、行うよう勧められる

3
推奨/回答

分娩直接介助を助産師が行うことは、マッサージ等による産痛緩和で満足度が上がり、自然分娩の割合が増え、会陰切開、点滴などの医療介入の割合が減る事を認識する。

推奨の強さ

B:科学的根拠があり、行うよう勧められる

4
推奨/回答

分娩介助者が助産師である場合、助産師は医師にいつでも連絡報告できることが重要である。また、助産院での安全確保のための取り扱い基準、適応リスト、および異常時対応のガイドラインを遵守する。

推奨の強さ

A:科学的根拠があり、行うよう強く勧められる

背景
医師との協働のもとで、母児の安全を守るための適切な医療処置や、女性が主体的に出産する姿勢を尊重した、安全で満足な妊娠出産ケアが行われる。更に、女性の産む力を最大限に引き出し、妊娠や分娩を正常に経過させるために、心身のケアや生活を整えることが重要である。このような自然分娩への援助は助産師が居ることによって提供される。

議論・推奨への理由(安全面を含めたディスカッション)
陣痛室で家族の他に、医療者が居ると満足感が高くなることから、可能な限り産婦の傍に医療者がいることが満足なお産にとって望ましい。 しかし、実際には現場では複数の産婦を受け持つことがあるので、1人の産婦の傍に医療者がずっと付き添うことは、助産院以外の施設では、時間的にも人員的にも難しい。そのため、頻回に産婦の顔を見に陣痛室に行くこと、産婦が独りにされた感じを抱かない様に顔を観て声をかけるなどの対応をすることが必要である。
ローリスク妊産婦の場合は、助産師が担当する周産期ケアは産科医主導のケアグループよりも医療介入が少なく、安楽なケアが多くて満足感が高いが、分娩様式や臨床結果に差が無かったことから、「その安全性を担保出来るか」について本研究の調査結果と RCT のデータによって確認された。助産師は「快適で、満足出来るケア」を提供出来るだけでなく、「現在の医療レベルに合致した妊娠・分娩の状態の評価」が出来なければならない。このスキルをどのようにして確保するかは大切で、助産師養成をどのようなカリキュラムの元で行なうかの検討が必要である。産科医療の現状から見ると、産科医師と同様に、「移行措置」で乗り切るよりほかはない。
母体の安全性には関しては、ローリスク妊産婦の場合は医師が担当する場合とあまり差がないが、新生児の臨床結果に関しては研究結果の評価が分かれている。従って、助産師のみで担当する場合、産科医がいつでも駆けつけ医療介入出来るという条件は必須と思われる。院内または院外で、助産師のみで診察とケアを行う際には、対象を「助産所における適応症リスト」で提言されたローリスクまたは正常範囲内の妊産褥婦に限定すること、更に「正常分娩急変時のガイドライン」を遵守して、安全を最優先に確保し、実践すべきである。また、必要に応じて産科医または新生児科医が立ち会うか、嘱託医療機関等への搬送をスムーズに行える緊急時の対処手順を整備して、母子の安全性を担保することが最も重要である。母子の安全性の確保を前提条件として、リスクの少ない女性の妊娠出産時のケアを助産師が行うことにより、より快適で満足な分娩をサポートできる。

(本文、図表の引用等については、母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査-科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂-の本文をご参照ください。)

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