RQ2 分娩期に医療者以外の付添い(立会い)が居るか?
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RQ2 分娩期に医療者以外の付添い(立会い)が居るか?
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推奨/回答
分娩期に医療者以外の夫などによる付添いや立会分娩では、体位や産痛緩和、早期接触・授乳などのケアが多く提供され、鎮痛剤の使用など医療介入が少ない。また、産婦を独りにしないことで満足感が上がる。
従って、母子が心身共に安楽で満足な出産を迎えるには、産婦が希望すれば、どの施設も、夫や家族の立ち会い分娩を受け入れ、出産環境を整えるのが望ましい。その結果は、母子接触・早期授乳、1か月時の母乳哺育率にも有益となる。
推奨の強さ
B:科学的根拠があり、行うよう勧められる
背景
わが国では、1960 年代に精神的産痛緩和法としてラマーズ法が導入されたのに伴い、夫立ち会い分娩が徐々に広まった。分娩中に産婦が独りになる事は不安と緊張が増強し、分娩結果にも影響を及ぼすとされている。
議論・推奨への理由(安全面を含めたディスカッション)
日本では文化的に男性が分娩に立ち会う事ができるが、産婦である女性の半数、夫を含む立会うべき人の1割が分娩立会いを希望していないことが特徴である。しかし、医療側の都合で立会い分娩をできなかった産婦では分娩時のケアに満足した割合は、全体で58%に対し、44%と低かった。
臨床結果に関しては、付添いや分娩立会いによって異常が少なく正常に経過したとは単純に解釈はできない。異常が無いため付添いや分娩立会いが可能となり、医療介入が少なかったと推測される。しかし、夫による付添いや立会分娩では体位や産痛緩和、早期接触・授乳などの助産ケアが多く提供され、鎮痛剤の使用など医療介入が少ない出産環境の指標となり得る可能性を示唆している。 分娩中の産婦が独りになることなく精神的な安定(Doula 効果)をもたらすことで出産に対して積極的かつ前向きになり、その結果、産婦の希望による帝王切開術が減少し、自然分娩が増加することも考えられる。
従って、女性と夫や家族が希望すれば、どの施設においても立ち会い分娩を受け入れ、心身共に安楽で満足な出産を母子で迎えられるよう支援するべきである。その結果、母子接触・早期授乳、1か月時の母乳哺育率にも有益である。
(本文、図表の引用等については、母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査-科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂-の本文をご参照ください。)