ステートメント 10(抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡)

CQ/目次項目
ステートメント 10(抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡)
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推奨/回答

出血高危険度の消化器内視鏡において,アスピリン以外の抗血小板薬とワルファリンまたはダビガトラン併用の場合には,抗血栓薬の休薬が可能となるまで内視鏡の延期が好ましい.内視鏡の延期が困難な場合には,アスピリン以外の抗血小板薬からアスピリンまたはシロスタゾールへの変更を考慮する.ワルファリンまたはダビガトランはヘパリンに置換する.

推奨の強さ

C1:科学的根拠はないが,行うよう勧められる

エビデンスの確実性

Ⅵ:患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見

各種薬剤のフローチャートにつきましては、ステートメント1の解説をご参照ください。

科学的根拠は低いレベルの根拠のみであるが,その有益性は害に勝り,臨床的には有用と考えられる.ステートメントをサポートするエビデンスは示されていない.

アスピリン以外の抗血小板薬と抗凝固薬を併用した場合,出血高危険度の消化器内視鏡の出血性偶発症がどれくらい増加するかについての明確なエビデンスは存在しない.アスピリン以外の抗血小板薬の代表的な薬剤であるクロピドグレルと抗凝固剤の併用について言及した文献も検索した限り存在しなかった.これは,海外のガイドラインにおいて,いずれの薬剤も休薬する,つまり,クロピドグレルはアスピリンへ,ワルファリンはヘパリンへ置換することが推奨されているためと考えられる.
抗血小板薬と抗凝固薬を併用内服されている患者は基本的に血栓塞栓症の発症リスクが高い患者であり,抗血栓薬の休薬は極力避ける必要がある.本ステートメントでは,血栓塞栓症の発症リスクが軽減し抗血栓薬の休薬が可能となるまで内視鏡の延期を推奨したが,一般診療では癌の治療など,出血高危険度の内視鏡を血栓塞栓症のリスクを押してまで行わないといけないことがあることも事実であり,その場合は,アスピリンまたはシロスタゾール継続下での治療は許容した.

(本文,図表の引用等については,抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインの本文をご参照ください.)

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