ステートメント 1(抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡)

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ステートメント 1(抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡)
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推奨/回答

消化器内視鏡検査・治療において,アスピリン,アスピリン以外の抗血小板薬,抗凝固薬のいずれかを休薬する可能性がある場合には,事前に処方医と相談し休薬の可否を検討する.原則として患者本人に検査・治療を行うことの必要性・利益と出血などの不利益を説明し,明確な同意の下に消化器内視鏡を行うことを徹底する.

推奨の強さ

B:科学的根拠があり,行うよう勧められる

エビデンスの確実性

Ⅵ:患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見

低いレベルの科学的根拠がありその有益性は害に勝り,臨床的に有用と考えられる.処方医と相談するかしないか,十分に説明をした方がよいかどうかに関して比較をしたエビデンスがあるわけではなくあげられている文献は参考となるものではあるがエビデンスとなるものではないのでEvidence Levelは低くなる.

抗血栓薬使用者に対する消化器内視鏡検査・治療では,抗血栓薬による出血リスクと休薬による血栓塞栓症発症のリスクの両方に配慮しなければいけない.内視鏡の手技によって出血リスクが異なるのと同様に,患者の病態によって血栓塞栓症発症のリスクが異なるため,内視鏡医と抗血栓薬の処方医とで個々の患者における最良の方法を選択することが重要である.内視鏡医の判断だけで抗血栓薬の休薬を行うことは避けなければならない.
アスピリンの中止により心血管イベント,脳梗塞が約3 倍に増加するとされ,脳梗塞の発症はアスピリンの休薬10 日以内が70%を占める.冠動脈に対する薬剤放出性ステント挿入後1 年以内など抗血小板薬の休薬が危険な状況も知られている.
ワルファリンの中止によって,患者が本来有している凝固亢進状態に戻る.ワルファリン休薬100 回につき1 回の割合で血栓塞栓症が発症するとされ,発症すれば重篤で予後不良である場合が多い.血栓塞栓症のリスクは休薬だけではなく,内視鏡の前処置による脱水も関与するので,補液にも注意する必要がある.















(本文,図表の引用等については,抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインの本文をご参照ください.)

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