POINT 4 (第4章 生活習慣の修正)

CQ/目次項目
POINT 4 (第4章 生活習慣の修正)
1
推奨/回答

生活習慣の修正は高血圧予防や降圧薬開始前のみならず,降圧薬開始後においても重要である。

推奨の強さ

推奨グレードA:強い科学的根拠があり行うよう強く勧められる。

2
推奨/回答

減塩:減塩目標は食塩6g/日未満である。

推奨の強さ

推奨グレードA:強い科学的根拠があり行うよう強く勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅠ:システマティックレビューやランダム化比較試験のメタアナリシス

3
推奨/回答

食事パターン:野菜・果物を積極的に摂取し,コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。魚(魚油)の積極的摂取も推奨される。

推奨の強さ

推奨グレードB:科学的根拠があり行うよう勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅡ:ランダム化比較試験

4
推奨/回答

減量:体格指数(BMI:体重(kg)÷[身長(m)]2)25kg/m2未満が目標であるが,目標に達しなくとも,約4kgの減量で有意の降圧が得られる。

推奨の強さ

推奨グレードA:強い科学的根拠があり行うよう強く勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅠ:システマティックレビューやランダム化比較試験のメタアナリシス

5
推奨/回答

運動:有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上を目標に)運動を行う。

推奨の強さ

推奨グレードA:強い科学的根拠があり行うよう強く勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅠ:システマティックレビューやランダム化比較試験のメタアナリシス

6
推奨/回答

節酒:節酒を行う。

推奨の強さ

推奨グレードA:強い科学的根拠があり行うよう強く勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅠ:システマティックレビューやランダム化比較試験のメタアナリシス

7
推奨/回答

禁煙:禁煙の推進と受動喫煙の防止に努める。

推奨の強さ

推奨グレードA:強い科学的根拠があり行うよう強く勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅣa:疫学研究(コホート研究、コホート研究のメタアナリシス)

8
推奨/回答

その他:防寒や情動ストレスの管理などを行う。

推奨の強さ

推奨グレードC1:科学的根拠は不十分だが行うように勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅣa:疫学研究(コホート研究、コホート研究のメタアナリシス)

9
推奨/回答

複合的な生活習慣修正はより効果的である。

推奨の強さ

推奨グレードB:科学的根拠があり行うよう勧められる。

エビデンスの確実性

エビデンスレベルⅡ:ランダム化比較試験

生活習慣の修正はそれ自体で軽度の降圧が期待されるばかりでなく,降圧薬の作用増強や減量の一助となりうる。したがって,降圧薬開始前のみならず,降圧薬開始後であっても生活習慣の修正を積極的に勧める。高血圧以外の心血管病,危険因子の合併予防の目的からも,原則としてすべての高血圧患者に対して生活習慣修正の教育・指導を行う。さらに,高血圧予防の観点から,健常人においても適正な生活習慣を身につけるべきである。特に,幼小児期は生活習慣が確立される時期であるとともに,生涯にわたる身体的影響の可能性もあることから,適正な生活習慣の指導・教育は重要である。
生活習慣の修正項目を表4-1に,それぞれの生活習慣修正による血圧低下度の程度を図4-1に示す。




1. 食塩制限
食塩過剰摂取が血圧上昇と関連があることは以前よりINTERSALTなどの観察研究によって指摘されてきた。さらにDASH Sodiumをはじめとする多くの欧米の介入試験でも,減塩の降圧効果は証明されている。これらの介入試験の成績をみると,少なくとも6.5g/日まで食塩摂取量を落とさなければ有意の降圧は達成できていない。なお,TONEでは降圧薬中止後の正常血圧維持に有効である減塩は5.6g/日以下であった。これらを根拠に欧米のガイドラインでは6g/日未満あるいはそれ以下の減塩を推奨しており,2012年に発表されたWHOのガイドライン(一般向け)では5g/日未満が強く推奨されている。しかし,本ガイドラインでは,本邦の実情を考慮して減塩目標値を6g/日未満とする。食塩6g/日食に関しては日本高血圧学会減塩委員会のレシピなどが参考になる。
石器時代の人類の食塩摂取量は0.5-3g/日であったという報告もあり,生物としての人類にとっては少ない食塩摂取量がむしろ妥当であるとの意見もあるが,介入試験で安全性が確認されているのは平均3.8g/日である。最近の欧米の食事に関するガイドラインや勧告では目標あるいは理想の食塩摂取量として3.8g/日未満をあげており,より低い食塩摂取量を目指している。多くの疫学研究やそのメタアナリシスでは食塩過剰摂取は心血管病リスクを増加することが報告されており,4つの6か月以上の長期の経過観察が行われた介入試験を集めたメタアナリシスや介入試験終了後の長期経過観察研究でも,同様のことが示されている。これらの報告で用いられた介入試験における減塩の程度は6g/日程度までであるので,厳格な減塩の心血管病リスク抑制効果については今後の検討が必要である。なお,疫学研究の成績を整理すると,減塩は冠動脈疾患リスクに比べて,脳卒中リスクを強力に抑える傾向がある。これは脳卒中には血圧の影響が非常に大きいが,冠動脈疾患では血圧以外の因子の影響も大きいことによる可能性がある。
本邦における平均食塩摂取量は依然10g/日を超えており,さまざまな機会を通じて減塩の必要性が知らされているにもかかわらず,多くの高血圧患者で6g/日未満の目標値を達成できていない。しかし,減塩はその程度に応じて降圧が期待できるので,少しずつ食塩摂取量を減らすべく長期的な指導を行う(減塩1g/日ごとに収縮期血圧が約1mmHg減少するというメタアナリシスの成績がある)。また減塩も厳しすぎると脱水などを生じて,かえって身体的悪影響を及ぼすことがあるので,高齢者や慢性腎臓病(CKD)患者など腎のNa保持能の低下している場合や夏季など水分が失われやすいときには注意が必要である。なお,食塩摂取量はエネルギー摂取量が多いほど多くなることが知られており,エネルギー制限は減塩につながる。
現在,本邦では加工食品の栄養成分表示は食塩相当量でなく,Na表示にするように決められている。しかし,食事の指導は食塩量(g)で行われているので,食塩相当量に換算しなければならない。Na量は2.54倍すると食塩相当量となるが,実地臨床では簡略化して2.5 倍で計算してよい。なお,食塩摂取量は個人差があるので,個人の食塩摂取量を配慮した減塩指導が必要になる。前もって食塩摂取量の評価を行うと,効率的である。一般医療施設では早朝第2尿や随時尿におけるNa/クレアチニン(Cr)比などでの評価が実際的である(表4-2)。これは24時間尿Cr排泄量推計値を含む計算式により信頼性向上を図ることができる。ただし,計算式による値でも限界があるので,複数回の測定を施行し,食事の聞き取りなども併せて行う。
理想的な減塩を本人や関係者の努力だけで実施するのは,現在の社会環境では困難なことが多く,政策的な取り組みが必要である。なお,本邦での食塩摂取量のうち90%はしょうゆ,みそを含む加工食品からの摂取であるため,減塩目標達成には,加工食品中の食塩含有量を減らす取り組みが必要である。また,幼少期の減塩は長期的にみて血圧上昇を抑制する可能性があることが報告されている。本邦の幼小児は食塩摂取量が多く,幼小児や母親などに対する教育・指導を充実・改善すべきである。



2. 栄養素と食品
米国において野菜,果物,低脂肪乳製品が豊富な(飽和脂肪酸とコレステロールが少なく,Ca,K,Mg,食物繊維が多い)DASH食の介入試験が行われ,有意の降圧効果が示された。DASH食の成分のうち,Kの降圧効果については,その作用が弱いために米国心臓協会(AHA)の高血圧の食事療法の報告など一部のガイドラインでしか取り上げられていない。しかし,食塩過剰摂取の血圧上昇作用に対するKの拮抗作用は顕著である。食品加工の際にNaが添加されKが失われていくことから,加工食品が汎用されている先進国ではKの積極的摂取を推奨すべきである。実際,疫学研究でNa/K摂取比が心血管病リスク増加や全死亡に重要であるという報告もある。2012年に発表されたWHOのガイドラインではK摂取量3510mg/日以上を推奨している。ただし,重篤な腎障害を伴う者は高K血症をきたすリスクがあるので,Kを多く含む野菜・果物などの積極的摂取は勧められない。一方,CaやMgは硬水を飲んでいる地域の住民で血圧が低いという疫学研究から降圧効果が期待され,小規模の介入試験が行われたが,わずかな降圧しか認めなかった。DASH食パターンの意義は,降圧効果が弱い栄養素でも組み合わせると,有意の降圧が期待できるという点にある。
本邦においてはDASH食の効果を示した成績は乏しく,また日本人の普段の食事でDASH食に相当するような食品構成を実現するレシピも十分ではないが,健常人を対象とした『食事バランスガイド』が参考になる。これでは食品のカウントがDASH食に準じた形でなされており,野菜が1日5~6 SV(serving),果物が2 SV(例えばりんご1個)とされている。詳細は引用文献を参照されたい。なお,糖分が多い果物の過剰な摂取はエネルギー摂取量の制限が必要な患者(肥満者など)ではむしろ注意すべきである。DASH食はNa利尿作用を有し,メタボリックリスクの軽減作用がある可能性が指摘されている。最近,Mg摂取量の多い集団ではメタボリックシンドロームの頻度が少ないという疫学研究が示されているので,DASH食の後者の作用にはMgの関与が推測される。なお,DASH食と類似の食事として地中海ダイエットが知られているが,この食事でも降圧・心血管リスクの改善が報告されている。
INTERMAPの成績によるとn 3多価不飽和脂肪酸(魚油に多く含まれる)の摂取量が多いものは血圧が低い傾向にあり,介入試験のメタアナリシスでは,魚油は高用量(3g/日以上)の摂取が必要であるものの,その摂取増加は高血圧患者に降圧効果をもたらすことが示されている。参考までに,『食事バランスガイド』では魚は1日2 SV(1切れ)とされている。さらに,本邦のコホート研究(JPHC研究)では魚の摂取が多いものほど心筋梗塞発症が少ないことが報告されている。一方,最近行われたn 3脂肪酸(エイコサペンタエン酸[EPA]とドコサヘキサエン酸[DHA]が中心)摂取の介入試験では心血管病のリスク減少効果を認めなかったが,本邦においては高純度EPA製剤では冠動脈疾患リスクが減少したという報告もあり,その種類・量などに加えて,地域差(日本人はもともと魚の摂取量が多い)も考慮してさらなる検討が必要と思われる。
また,高血圧患者を対象にしたOmniHeartでは,蛋白質または不飽和脂肪酸に富む食事は炭水化物に富む食事に比べ血圧が軽度低下し,メタボリックリスク改善にも有用であったと報告されている。不飽和脂肪酸の有用性はDASHとも共通する成績である。蛋白質の積極的摂取や炭水化物の摂取制限なども含めた食事パターンの意義については,今後さらなる検討が必要であると思われる。食物繊維の降圧効果を示したメタアナリシスも報告されている。なお,抗酸化食品などの血圧への効果に関してはガイドラインで推奨できるほどのエビデンスはない。

3. 適正体重の維持
肥満は高血圧の重要な発症要因であるので,肥満者は体格指数(BMI:[体重(kg)]÷[身長(m)]2)で25kg/m2未満を目指して減量し,非肥満者はこのレベルを維持する。肥満は高血圧のみならず糖・脂質・尿酸代謝異常,脳梗塞,脂肪肝,月経異常や妊娠合併症,睡眠時無呼吸症候群や肥満低換気症候群,整形外科的疾患,肥満関連腎症なども合併する。肥満関連腎症は最近注目されており,肥満,特に高度肥満ではそれ自体が蛋白尿とその後進行する腎機能低下の原因になるという。また,肥満はCKDの悪化要因でもある。腎機能悪化は高血圧をさらに重篤にするので,体重管理は重要である。内臓脂肪が多い者ほど高血圧,脂質異常症,高血糖が多いという報告があるので,ウエスト周囲長(男性85cm未満,女性90cm未満)も考慮して減量を行うべきである。
肥満解消による降圧効果は確立されており,最近のメタアナリシスでも約4kg の減量で-4.5/-3.2mmHgの有意の降圧が得られた。肥満を伴う高血圧患者にはまずはじめに減量を勧めるべきであるが,急激な減量は有害事象をきたす可能性があることや4kg程度の減量で有意の降圧の得られることを考慮して,長期的計画のもとに無理のない減量を行うべきである。なお,小児肥満は高血圧の重要な原因であり,特に小児に対しては肥満防止のための適切な指導・教育を行うべきである。

4. 運動
有酸素運動の降圧効果は確立されている。身体活動の増加は血圧低下のみならず,体重,体脂肪,ウエスト周囲長の減少,インスリン感受性や血清脂質の改善が指摘されている。さらに,身体活動の低下は心血管病のリスクを上昇させる。運動療法によって酸素摂取量を増加させることが予後改善に寄与するのかもしれない。したがって,高血圧患者では生活習慣の修正の一つとして運動が推奨される。
高血圧などの生活習慣病の予防や治療には速歩のような有酸素運動が優れている。運動強度については論文によって,その評価の尺度が一定していない。エビデンスレベルは高くないが,最大酸素摂取量の50%としている指針が多く,これは自覚的所見から推定するボルグ・スケールでは「ややきつい」程度である。しかし,米国スポーツ医学協会(ACSM)/AHAの一般人向けの勧告では,強い運動を中等度の運動に交えて行うほうが心血管病リスク減少には有用であると記載されている。とはいえ,運動強度が強すぎると高血圧患者においては運動中の血圧上昇が顕著で,正常血圧者と異なり予後が悪いという報告もあるので,高血圧患者における激しい運動は慎重に行うべきである。運動は定期的に(できれば毎日30分以上)行うことが目標である。一般向けのACSM/AHAの勧告では,少なくとも10分以上の運動で,合計して1日30分を超えればよいとされている。有酸素運動に加えて,レジスタンス運動やストレッチ運動を補助的に組み合わせると,前者は除脂肪体重の増加や骨粗鬆症・腰痛の防止,後者は関節の可動域や機能の向上が期待でき,有用である。最近,レジスタンス運動に降圧効果があるというメタアナリシスが報告されている。『健康づくりのための運動指針2013』によると,身体活動を運動と生活活動に分け,生活活動に重点を置き身体活動度を増加させるという方針が示されており,患者教育においても日常生活の中で身体活動度を上げるべく指導するのがよい。
なお,運動療法の対象者はⅡ度以下の血圧値(Ⅲ度を超える血圧の者は降圧後に運動療法を施行する)で心血管病のない高血圧患者である。リスクの高い患者は事前にメディカルチェックを行い,必要に応じて運動の制限や禁止などの対策を講じる。単に高齢者であるからといって運動を制限すべきではないが,高齢者では特に事前のメディカルチェックは必須である。

5. 節酒
飲酒習慣は血圧上昇の原因となる。大量の飲酒は高血圧に加えて脳卒中やアルコール性心筋症,心房細動,夜間睡眠時無呼吸などを引き起こすだけでなく,癌の原因にもなり死亡率を高める。高血圧患者では少量の飲酒はむしろ心血管病のリスクを改善し,飲酒量と心血管リスクはU型の関係を示すという疫学研究がある。しかし,少量の飲酒の心血管保護効果については,そのメカニズムを含め今後の検討が必要である。
アルコール単回投与は数時間持続する血圧低下につながるが,長期に続けると血圧は上昇に転じる。飲酒量を80%ほど減ずると1 2週間のうちに降圧を認めるとされている。メタアナリシスでもアルコール制限の降圧効果が示されている。大量飲酒者は急激な節酒により血圧上昇をきたすことがあるが,節酒を継続すれば降圧が得られる。エタノールで男性20~30mL(おおよそ日本酒1合,ビール中瓶1本,焼酎半合弱,ウイスキー・ブランデーダブル1杯,ワイン2杯弱に相当)/日以下,女性はその約半分の10~20mL/日以下にすべきである。

6. 禁煙
最近の一部の研究では喫煙の高血圧発症への影響も指摘されているものの,喫煙の血圧への慢性的な影響は確立されていない。しかし,1本の紙巻きたばこを吸った場合,15分以上持続する血圧上昇を引き起こすことが示されている。このため,喫煙者は日中自由行動下血圧が上昇するタイプの仮面高血圧を生じやすいという。また,喫煙は上腕血圧の上昇はきたさなくとも,増大係数(AI)や中心血圧を上昇させ,禁煙が成功すればこれらの値は減少することが示されている。なお,喫煙は腎血管性高血圧の危険因子として知られている。一方,禁煙は冠動脈疾患リスクを減少させるものの,体重が2kg増え,血圧が上昇したとの報告もあり,禁煙後の食生活の変化などに伴う体重増加にも注意すべきである。
喫煙は癌などの非循環器疾患のみならず,冠動脈疾患や脳卒中などの強力な危険因子であり,高血圧治療の目的が心血管病予防であることを考えれば,血圧に対する影響のいかんにかかわらず,禁煙は重要である。その被害は周囲の非喫煙者にも及び,受動喫煙でもこれらのリスクが上昇する。受動喫煙者は24時間血圧が高く,仮面高血圧も高頻度であるという報告もある。禁煙は高血圧患者はもとより,健常者においても推奨すべきである。禁煙指導においては多学会からなる合同研究班で作成した『禁煙ガイドライン』や,『禁煙治療のための標準手順書』が参考になる。必要に応じて禁煙補助薬(バレニクリン,ニコチン補充療法)なども考慮する。一定の条件を満たせば保険診療で禁煙指導を受けることができる。

7. その他の生活習慣の修正
寒冷が血圧を上げ,冬季には血圧が高くなる。心血管病による冬季の死亡率増加は暖房や防寒の不十分な場合ほど高くなる。したがって,高血圧患者においては冬季には暖房に配慮すべきであり,本邦においてはトイレや浴室,脱衣所などの暖房が見落とされやすいので注意が必要である。
情動ストレスと血圧との関係は矛盾する報告もあるが,最近のメタアナリシスによるとストレス管理の有効性が示されている。したがって,症例によってはバイオフィードバックなどを試みる価値がある。
睡眠の長さや質が血圧上昇や心血管病のリスク増加に関係している可能性が疫学研究で指摘されている。症例によっては睡眠の改善が降圧に有用である場合もあると考えられる。
入浴に関しては熱すぎない風呂がよい。室温20℃以上,湯温40℃以下では血圧はほとんど上がらないとされている。38℃-42℃くらいの湯温で5-10分くらいの入浴が目安である。銭湯の湯温は熱すぎることが多い。冷水浴やサウナは避けるべきである。
便秘に伴う排便時のいきみは血圧を上昇させるので,便秘予防の指導,場合によっては緩下薬の投与を行う。
性交は血圧を上昇させるが,性生活において高血圧ゆえの問題はあまりない。しかし,心血管病を伴っている場合,刺激の強い性行為は慎むべきである。

8. 生活習慣の複合的な修正
DASHならびにDASH Sodiumより,複合的な食事の改善によって,より著明な降圧の得られることが示唆された。また,TONEでは減塩と減量を組み合わせるとより緩い管理でも降圧や心血管病予防が得られやすいことが示されている。減塩・減量・運動・節酒にさらにDASH食を組み合わせると,より降圧の得られることも報告されている。したがって,生活習慣の修正は複合的に行うことが推奨される。なお,生活習慣の修正は幼小児期から行い,高血圧を含めた生活習慣病の予防に努めるべきである。

9. 特定保健用食品
「特定保健用食品」は,健康増進法第26条第1項の許可または同法第29条第1項の承認(消費者庁長官)を受けて,食生活において特定の保健の目的で摂取するものに対し,その摂取により当該保健の目的が期待できる旨を表示する食品をいう。特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないが,一定の有効性が確認され,限定的な科学的根拠である旨の表示をする食品は「条件付き特定保健用食品」と呼び,それぞれ図4-2に示すマーク表示がある。血圧に有効とされる食品の降圧機序としてACE阻害活性に基づくものが多いが,摂取に際しては表示されている「1日当たりの摂取目安量」を遵守するとともに,妊婦や腎障害を有する場合には注意喚起をする必要がある。また特定保健用食品の摂取が,降圧薬の代替となるものではないことも指導する。すでに降圧薬を服用している患者でこれらの食品を使用したい場合には,医師と相談するよう注意喚起を行う。
特定保健用食品の情報は消費者庁,あるいは独立行政法人国立健康・栄養研究所で検索することができる。



(本文、図表の引用等については、高血圧治療ガイドライン 2014の本文をご参照ください。)

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