―診療ガイドライン活用事例紹介―

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独立行政法人国立病院機構 東京医療センター(東京都)の取り組み

 東京医療センターは、国立病院機構の中で最も多くの病床(780 床)を有する地域の高度急性期病院として、救命救急センター、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、東京都災害医療拠点病院などの指定を受け、地域医療に貢献しています。今回は、総合内科の山田康博先生、吉田心慈先生に、総合内科で毎週開かれる勉強会や診療における診療ガイドラインの活用について、お話をお伺いしてきました。


勉強会での診療ガイドラインの活用
 勉強会の目的

 勉強会の目的は総合内科のレジデントが最低限知っておくべき知識を共有することです。勉強会はレジデントの自主性で成り立ち、週3回の開催でレジデントの出席率も毎回半数を超えています。


 勉強会での診療ガイドラインの位置づけ

 診療ガイドラインは、「信頼できる情報の一つ」という位置づけです。勉強会では、診療ガイドラインをはじめ、論文や教科書等で知識を得て、その上で生じる臨床上の疑問を全体で議論します。


 今回の勉強会での事例紹介

 今回の勉強会の中で、タンパク制限と予後改善について、診療ガイドラインに記載されている制限値を余命の短い患者に当てはめることについて議論しました。余命の短い患者に、QOL は下がるものの余命が伸びる可能性のあるタンパク制限の治療をするのか、または、余命は伸びないかもしれないが美味しいものを食べられる生活を選ぶのか。患者の希望・価値観を踏まえた最善の医療を提供する出発点として、標準治療があります。その標準治療を知る上で、診療ガイドラインは有用であると思います。



総合診療科・総合内科
山田 康博 先生

勉強会の風景
総合診療科・総合内科
吉田 心慈 先生

総合診療科・総合内科
吉田 心慈 先生

勉強会の概要
テーマ設定方法 知っておくべきトピックスをあらかじめリストアップし、担当を割り振る
今回の勉強会 テーマ「CKDの評価と管理について」
 発表者であるレジデントがCKDの評価と管理について、日本と海外の診療ガイドライン、論文や書籍をもとに作成したスライドを発表し、その後全体で実臨床上の課題などを議論した (参加者:総合内科のレジデント、指導医の計9名)




実臨床での診療ガイドラインの活用
 総合内科における診療ガイドラインの位置づけ

 総合内科医はあらゆる疾患を診療しなければなりません。例えば、外来患者の再診までにその疾患の標準治療を知るために診療ガイドランを参照することもあります。その際、Mindsウェブサイトは、日本語で短時間に診療ガイドラインを調べて読むのに便利で活用しています。


 患者との意思決定場面での対応

 診察室や病棟で患者に標準的な治療を説明する場面では、診療ガイドラインの名前を出して説明するというよりは、一般的な治療とはどういったものか、といった言葉で説明することが多いです。「診療ガイドライン」というと、遵守しなければならないもの、という誤解を患者に与えてしまうかもしれないと思うからです。一方、診療ガイドラインに記載の治療について知りたいと言う患者もおり、そうした患者を含め理解力・判断力のある患者に対しては、今後、診療ガイドラインを基に一層コミュニケーショ ンを深められる可能性を感じています。



Minds より
 今回の取材では、レジデントの勉強会や臨床現場での活用状況を知ることができました。あらゆる疾患に接し、専門外の疾患についてもその標準治療を知っていることが求められる総合内科医にとって、診療ガイドラインは標準治療を知る重要な情報源の一つであることが分かりました。
 Minds ウェブサイト「Minds ガイドラインライブラリ」では引き続き、多くの診療ガイドラインを一般に公開して医師のニーズに応えていきたいと思います。


(2018年2月6日掲載)