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虚血性心疾患

■合同研究班編/医療・GL(06年)/ガイドライン




3.日本人の虚血性心疾患への対応

 
2)各論

e.脂質

3 高トリグリセライド血症

高トリグリセライド血症が虚血性心疾患の危険因子であることは,以前から指摘されてきたが,高コレステロール血症と虚血性心疾患の関連性に比べると報告は少なく,予防試験としても,一次,二次ともに報告は少ない.高トリグリセライド血症における動脈硬化発症原因を考えた場合,レムナント,small dense LDL,低HDLコレステロール血症,血液凝固線溶系異常をあげることができ,また,インスリン抵抗性との関連性も指摘されており,原因が単純でないことも虚血性心疾患との関連性が得られにくい理由と考えられる.1997年以降,日本国内で新たな報告はなく,したがって,これまでの日本人の調査結果からは,日本動脈硬化学会高脂血症診療ガイドラインの診断基準値150mg/dLで妥当と考えられる.日本人成人の血清トリグリセライド値が男性88〜110mg/dL,女性63〜105mg/dLであり,最近報告されたCopenhagen Male Study244),COLTS245),BIP Study484)は二次予防試験ではあるが,血清トリグリセライド値が100mg/dLを越すと,虚血性心疾患のリスクが上昇することが示されている.日本はもちろん欧米諸国でも大規模な一次予防の介入試験のデータはなく,治療開始基準値と理想目標値については設定できない.
高トリグリセライド血症の治療の基本は,高コレステロール血症と同じく,食事療法である.血清トリグリセライド値が150mg/dL以上に対しては,まず食事療法を行う.第1段階は摂取エネルギーの制限[適正エネルギー摂取量=標準体重×25〜30(kcal)]と脂肪摂取量を全摂取エネルギーの20〜25%にする.アルコール摂取を1日25g以下にする.この際,肥満の是正が特に重要であり,糖尿病や耐糖能異常の有無に注意する.第2段階では高トリグリセリド血症の場合,アルコール摂取を禁止し,糖の摂取量を50%以下にし,二糖類や単糖類を出きるだけ少なくし,果物は1日80〜100kcal 以内とする.高コレステロール血症と高トリグリセリド血症がともに存在する時は高コレステロール血症で示した食事療法を併用する.運動療法は高トリグリセリド血症をはじめメタボリックシンドロームに治療効果がある.軽い有酸素運動を毎日30分以上続けることが推奨される.
薬物療法はライフスタイルの改善で十分に血清トリグリセライド値が低下しない場合に行うが薬物療法開始基準をどこに設定するか,現在のところそれを示す根拠がなく,今の課題である.血清トリグリセライドを低下させる薬物としては,フィブラート系薬剤,ニコチン酸,EPAがある.BIP Study484)では血清トリグリセライド値が200mg/dL以上の患者でフィブラート系薬剤の投与により,冠疾患イベントの抑制が認められた.