ガイドライン

根拠と総意に基づくカンガルーケア・ガイドライン(完全版)

書誌情報
総意形成のまとめ


トピック2:集中治療下にある児に対する一時的な「カンガルーケア」

Iガイドライン案(1回目)
集中治療下の早産児・低出生体重児にカンガルーケア(skin-to-skinの抱っこ)を施行する際は、体温・酸素飽和度などのモニタリングや理学所見の観察を行いながら、児の状態(疲労具合・経過)も考慮するなどの最大限の安全面での配慮が必要である。
(以降、青字は仮推奨)

IIガイドライン案(1回目)に対する評価
スコアは最小5点、最大9点で中央値は6であった。
母児関係へのコメントがない、早産児へのカンガルーケアの導入により母親への精神的不安が増大するのではなど、両親への心理的・社会的配慮に関するコメントが多く寄せられた。また、週数・バイタルサインなどの具体的な指標がないことなどもスコアを下げる要因となっていた。
しかし、現時点ではそれらに対する科学的根拠は乏しく、仮推奨は変更しなかった。

III改訂ガイドライン案
変更なし

集中治療下の早産児・低出生体重児にカンガルーケア(skin-to-skinの抱っこ)を施行する際は、体温・酸素飽和度などのモニタリングや理学所見の観察を行いながら、児の状態(疲労具合・経過)も考慮するなどの最大限の安全面での配慮が必要である。

IVワークショップ
児の状態把握
ケア中だけでなく移動などに際して児の状態が変化する(特にケア終了後)ことがあるためケアを行う前後・移動中の児の状態をしっかりと評価する必要があるといった意見が多く見られた。ワークショップではそれらは全てのカンガルーケアにおいて必要な事であるということで、独立した推奨とすることとなった。

母児関係
やはり母児関係、特に母親の心理的・社会的な配慮について意見が多々寄せられた。特にトピック1でも論点となった両親の希望や早産児を出産した母親の心理などに関して、その負担を大きくさせないような配慮が必要との意見が多かった。
そのため「児の状態」を「両親と児の状態(心理的・社会的要因も含めて)」と変更することとした。

文章表現
「・・・・カンガルーケアを行う際は、・・・・最大限の安全面での配慮が必要である。」という文面ではカンガルーケアを勧めるニュアンスが乏しい事もあり、「・・・・・配慮すれば、・・・・・・カンガルーケアを行うことができる。」といった文面の方が会場参加者より多くの支持を得た。

IV'ガイドライン案(2回目)
モニタリングや理学所見の観察など安全面への配慮を最大限行い、児の状態(疲労具合・経過)や両親の状態(心理的・社会的要因)にも配慮すれば、集中治療下の早産児・低出生体重児にもカンガルーケア(skin-to-skinの抱っこ)を行うことができる。
カンガルーケアを行う際は施行前後、移動中も含めて児の状態をしっかりと評価する必要がある。

Vガイドライン案(2回目)に対する評価
2回目と同様、評価スタッフのスコアは4点〜9点で中央値は8点であった。内訳は4点1名、5点1名、8点9名、9点1名で、1回目のスコアリングよりも賛成度は高かった。「親子のニュアンスが加わって良くなった」とのコメントがみられた。
会場参加者のアンケートでのスコアは、1点から9点まで見られ、中央値は7点であった。7点を頂点とした一峰性の分布を示した。
「集中治療下」の定義についてのコメントが多く、その境界の判断にとまどう意見が多かった。また、具体的な基準を求める意見も多くあったが、ケースバイケースでその症例に応じて検討すべきといった意見もみられた。また、トピック2のカンガルーケアは母児愛着形成を促すという面ではすべきとの意見が多かったが、決して医療者のよかれという思いだけで押しつけにならないよう充分に配慮が必要であるとの意見が多くみられた。

VIガイドライン案(3回目)
集中治療下(※注3)にある児へのカンガルーケアは、体温・酸素飽和度などのモニタリングで安全性を確保し、児の経過・全身状態から適応を入念に評価する(※注4)必要がある。さらにご両親の心理面に十分に配慮する環境が得られた場合(※注5)、実施を考慮する。
  • ※注3:超急性期は除く。人工呼吸管理下を含むか否かは、各施設の状況にあわせ、あらかじめスタッフ内で十分な意思統一が必須です。
  • ※注4:カンガルーケア実施中のみならず、前後数時間の状態、移動中も含めて赤ちゃんの状態を評価することが必要です。特に実施後の状態変化には注意を要します。
  • ※注5:ご両親の心の準備が十分にできていない状態でのカンガルーケアは不安を増大することがあるので注意を要します。

VIIガイドライン案(3回目)に対する評価
評価スタッフのスコアは4点〜9点で中央値は8点であった。内訳は4点1名、6点1名、7点3名、8点4名、9点3名で、2回目のスコアリングと比べ12名の評価スタッフ全員での賛成度は変わらなかった。
新しい推奨文に注釈がついたことを評価するコメントが多くみられた一方で、注釈と2文目(「さらに」以下)の文章表現の変更を希望するコメントも複数みられた。少数、安全性に関するエビデンスがないことを憂慮するコメントも寄せられたが、全体としては推奨文を評価するコメントが多かった。

VIIIガイドライン案 完成
この結果を受け、ガイドライン評価メンバーでの協議の結果、総意形成が得られたと判断し、推奨文の完成となった。


IXパブリックコメント募集
カンガルーケア・ガイドライン独自のウェブサイト、周産期・新生児医療関連のメーリングリスト、未熟児新生児学会会場などの場を通じて、広く多くの方々に完成した推奨文に対するご意見を募集した。
パブリックコメントでは添付資料のような意見がいくつか寄せられた。

Xガイドライン 完成
安全性とともに両親への配慮に関してのコメントが寄せられた。一部の表現の変更(「ご両親」→「ご家族」など)をワーキンググループで行った。

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