ガイドライン

根拠と総意に基づくカンガルーケア・ガイドライン(完全版)

書誌情報
ガイドライン作成法


全般的な流れ
今回のガイドラインの作成方法のプロセスは下記のように行った。
ガイドラインの作成方法のプロセス

クリニカル・クエスチョンの策定
今回のガイドラインにおいては、日本で行われているカンガルーケアの在り方を系統的に検討し、早産児/低出生体重児・正期産児、あるいは全身状態が安定している時期の介入、まだ不安定な時期の介入という形で分け、以下のように検討し、もれのないような形で検討した。ただし、安定している正期産児へのカンガルーケアは問題ないとされており「医療的ケア」と考えられないため、三つのトピックに分けて、三つのクリニカル・クエスチョンで検討した。
それぞれのクリニカル・クエスチョンは上記表内の対象において、「カンガルーケアは赤ちゃんと家族の健康を向上するために効果的か」、と設定した。

  全身状態が安定している時期 まだ不安定な時期
早産児
低出生体重児
トピック1(クリニカル・クエスチョン1) NICUを卒業し、未熟児無呼吸発作や酸素療法から逸脱した、安定した低出生体重児や早産児が対象(GCU) トピック2(クリニカル・クエスチョン2) いわゆるNICUに入院して、酸素や輸液療法を受けていて、クベースに入っている赤ちゃんたちが対象
正期産児   トピック3(クリニカル・クエスチョン3) 生直後の状態の、正常出産で生まれた赤ちゃんたちが対象

検索
# Search History Results
1 exp INFANT/ 642789
2 infan$.tw. 195768
3 or/1-2 680706
4 INFANT, NEWBORN/ 356377
5 newborn$.tw. 80898
6 neonat$.tw. 118435
7 or/4-6 431789
8 INFANT, LOW BIRTH WEIGHT/ 11204
9 INFANT, VERY LOW BIRTH WEIGHT/ 2624
10 INFANT, SMALL FOR GESTATIONAL AGE/ 2910
11 (infan$ adj5 (birth adj weight)).tw. 8177
12 (infan$ adj5 (lbw or vlbw)).tw. 1366
13 or/8-12 19738
14 INFANT, PREMATURE/ 25475
15 INFANT, POSTMATURE/ 201
16 (infan$ adj5 (prematur$ or preterm$ or postmatur$)).tw. 21084
17 or/14-16 35343
18 or/3,7,13,17 747373
19 kangaroo$.tw. 1001
20 kc.tw. 2334
21 kmc.tw. 58
22 or/19-21 3349
23 (hold$ adj5 (infan$ or neonat$ or newborn$)).tw. 237
24 (skin on skin or skin to skin).tw. 1119
25 (skin adj skin).tw. 1119
26 or/23-25 1338
27 or/22,26 4620
28 18 and 27 584
29 (ANIMAL/ or RODENTS/ or EXPERIMENTAL ANIMAL/) not (HUMAN/ or (HUMAN/ and (ANIMAL/ or RODENTS/ or EXPERIMENTAL ANIMAL/))) 2856042
30 28 not 29 541


検索式に関しては、前頁のMedline用の検索式を基本とし、Cochrane Library、Medline、EMBASE、PsychINFOといった医療系データベースの検索を行い、また、専門家の人的ネットワークにより発行されていない研究などあれば、それらも含めて、システマティック・レビューおよびランダム化比較試験を検討した。検索は2005年1月25日に行ったものから以後、2008年5月1日まで断続的に文献の検索を行った。


文献選択・批判的吟味・科学的根拠のまとめ・医療経済的配慮
三つのクリニカル・クエスチョンごとに見つかった文献は、批判的吟味を行い、それぞれの担当(永井・白井・西澤)と全体の担当(森)の協議により、採用を決めた。科学的根拠のレベルは、下記の基準で検討を行った。
この推奨グレードは、根拠になる情報の確かさや強さに基づいてつけられたものであり、その推奨の重要度を示すものではない。
得られた科学的根拠はエビデンステーブル(構造化抄録)の形にデータを抽出した。採用した研究はそれぞれのクリニカル・クエスチョンごとに得られた研究の中でもっとも科学的根拠のレベルが強いものとした。構造化抄録に従い、科学的根拠のまとめを策定した。(構造化抄録は付属資料:エビデンステーブル参照)
医療経済的な研究があれば、質も検討したが、適切な医療経済的研究がなければ、ガイドライン作成のためのワーキンググループ(作成スタッフ)や総意形成パネル(評価スタッフ)において、それぞれの専門的知見から医療経済的見地を含めて検討を行った。
以上の科学的根拠を基に、ガイドラインワーキンググループのメンバーにて、仮推奨を策定した。

根拠の強さと推奨グレード
根拠の強さ
研究デザインと質 非常に質が高く、そのまま利用可能な研究 利用可能だが、すこし注意が必要な研究 質やその他の理由で利用不能な研究
ランダム化比較試験あるいはランダム化比較試験のシステマティック・レビュー 1++ 1+ 1-
非ランダム化比較試験あるいはそれ以外の観察研究 2++ 2+ 2-
症例報告あるいは学会などからの専門家意見 3++ 3+ 3-


推奨グレード(根拠になる情報の確かさ・強さを示すものであり重要度を示すものではない)
根拠の強さ 推奨グレード
  A
  B
  C
研究の根拠の強さが「-」の場合は推奨策定の上では参考にしない
森 臨太郎作成


デルフィ変法および意見募集による総意形成
策定した仮推奨を基に総意形成を経て、広く受け入れられる推奨を策定するために(下記)、デルフィ変法を使用した。
推奨

子どもを中心に考えて推奨を策定するためにできるだけ客観的・無作為に評価するメンバーを選ぶため、新生児や周産期医療関係のメーリングリストや公開したウェブサイトなどにより、下記の職種にあたる12名のメンバーを公募した(作成メンバー参照)。なお評価の独立性を保つため、評価スタッフと作成スタッフは重複を認めなかった。

一般・患者代表 1名
新生児科医 2名
小児科医 1名
産婦人科医 1名
助産師 2名
看護師 2名
心理の専門家 1名
医療安全の専門家 1名
疫学者 1名
合計 12名

このメンバーにより、それぞれの仮推奨に関しての賛成度を1から9までの間で付けてもらい、その後「カンガルーケア・ミーティング」を利用して、公開した形で、聴衆も含めて科学的根拠と適切な推奨について話し合い、話し合いに応じて再度賛成度を評価して、賛成度7以上あるいはそれ以上であっても課題があると考えられた推奨においては総意形成と考えるに至るまで、賛成度の投票を郵送にて行い、最終の推奨を策定した。デルフィ変法の方法に関しては下記のようなスライドを使用して説明した。また同時に、仮推奨を公開し、全国より意見を公募し、公募した意見も同時に上記の話し合いにおいて検討した。これらの詳細な記録は総意形成のまとめとして示した。

デルフィ変法の説明スライド
デルフィ変法の説明スライド


アンケート調査
ガイドライン作成のプロセス向上のため、ガイドラインの公開作成会議(カンガルーケア・ミーティング)や、内容についてのアンケート調査をパブリックコメントと一緒に行い、今回や次回のカンガルーケア・ガイドライン作成法向上の糧とした。


ガイドライン・ヴァージョン作成
このガイドラインは、当該のガイドラインをもとにして、「ネオナイタルケア」誌(メディカ出版)に平易版兼患者一般向けを出版する予定である。


ガイドライン改訂の予定
このガイドラインは5年をめどに改訂する予定であるが、それまでに大規模な研究がおこなわれ、推奨が変わる可能性が高くなった場合においてはそれより早い時期であっても改訂を検討する。


倫理的配慮
このガイドラインはすべて公開してある二次情報を使用して行ったため、個人情報保護については問題ないとみなされたが、作成方法を含めて、倫理的な側面に関しては細心の注意を払って行った。


外部評価
当ガイドラインは、上記のように、アンケート調査やパブリックコメントの他に、公開前に、作成に直接かかわりのない三人の専門家により、AGREE共同計画「ガイドラインの研究・評価用チェックリスト」日本語版(平成14年度厚生労働科学研究費補助金による翻訳版)を使用して評価を得た。(付属資料:ガイドライン外部評価の結果

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