ガイドライン

(旧版)変形性股関節症診療ガイドライン

書誌情報
第4章 保存療法


Research Question 5
変形性股関節症に対するサプリメントの治療効果は

推奨
Grade I 各種サプリメント(コンドロイチン,グルコサミン,アボカド大豆不鹸化物)は症状の緩和に対して有効な可能性があるが,一定の見解は得られていない.


解説
各種サプリメント(コンドロイチン,グルコサミン,アボカド大豆不鹸化物)の下肢変形性関節症(膝,股)に対する大規模試験は多数行われており,その結果では症状,特に疼痛の緩和に有効であるとする報告が多い(HF10312HF11624HF11913).一方,対照と効果に有意の差がなかったとする報告もある(HF11550).また,いずれのサプリメントにおいても数ヵ月から数年程度の短期の成績の報告であり,5年以上の中・長期の報告は現時点ではなされていない.したがって,その長期的な有効性や病期の進行予防効果については不明である.ただし,安全性に関してはアレルギーの問題を除けば対照と同程度であり,少なくとも負の効果は認められていない.


サイエンティフィックステートメント
  • アボカド大豆不鹸化物を投与した群は,プラセボ群より臨床所見,VASとも有意に改善したとする中等度のエビデンスがある(HF10312, EV level-II).
  • アボカド大豆不鹸化物を投与した群は,プラセボ群より有意に非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)使用量が減ったとする中等度のエビデンスがある(HF11624, EV level-II).
  • コンドロイチンを投与した群は,プラセボ群より臨床所見,疼痛とも有意に改善したとする質の高いレベルのエビデンスがある(HF11913, EV level-Ia).
  • グルコサミンを投与した群とプラセボ群で効果に差を認めなかったとする中等度のエビデンスがある(HF11550, EV level-II).


エビデンス
  • 症状を有する下肢変形性関節症164例(股50,膝114)に対して無作為にアボカド大豆不鹸化物投与群(股30,膝55)と対照群(股20,膝59)の2群に分け,6ヵ月時に追跡調査を行った.臨床所見,VASともに有意にアボカド大豆不鹸化物投与群で改善していた.NSAIDs使用量もアボカド大豆不鹸化物投与群で対照群よりも少ない傾向にあった(HF10312, EV level-II).
  • 症状を有する下肢変形性関節症164例(股50,膝114)に対して無作為にアボカド大豆不鹸化物投与群(股29,膝51)と対照群(股33,膝50)の2群に分け,6ヵ月時に追跡調査を行った.機能的な評価およびNSAIDs使用量に関して,有意にアボカド大豆不鹸化物投与群で改善していた.VASは両群間で有意の差を認めなかった(HF11624, EV level-II).
  • 下肢変形性関節症(股,膝)に対するコンドロイチンの効果に関してのmeta-analysisを行った.120日以上の追跡調査ではコンドロイチン投与群はプラセボ群よりも疼痛と機能の点で少なくとも50%以上改善していた.コンドロイチンは下肢変形性関節症患者の症状を緩和する薬として有用かもしれない(HF11913, EV level-Ia).
  • 変形性膝関節症277例と股関節症117例に対して,無作為にグルコサミン投与群(股58,膝138)と対照群(股59,膝139)の2群に分け,5年間の追跡調査を行った.股関節のみの結果では両群間で,X線所見,臨床所見ともに有意の差を認めなかった(HF11550, EV level-II).
  • 関節裂隙が1mm以上残存している股関節症患者を無作為にアボカド大豆不鹸化物使用群(85例)と対照群(78例)の2群に分け,1年間の追跡調査を行った.全体としてはX線所見,臨床所見ともに差を認めなかった.投与開始時の関節裂隙が平均以下の群では,アボカド大豆不鹸化物投与群のほうが対照群よりも有意に進行が抑制されていた(HF10338, EV level-II).


文献

1) HF10312 Maheu E, Mazières B, Valat JP, Loyau G, Le Loët X, Bourgeois P, Grouin JM, Rozenberg S. Symptomatic efficacy of avocado/soybean unsaponifiables in the treatment of osteoarthritis of the knee and hip: a prospective, randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter clinical trial with a six-month treatment period and a two-month followup demonstrating a persistent effect. Arthritis Rheum. 1998;41(1):81-91.
2) HF11624 Blotman F, Maheu E, Wulwik A, Caspard H, Lopez A. Efficacy and safety of avocado/soybean unsaponifiables in the treatment of symptomatic osteoarthritis of the knee and hip. A prospective, multicenter, three-month, randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Rev Rhum Engl Ed. 1997;64(12):825-34.
3) HF11913 Leeb BF, Schweitzer H, Montag K, Smolen JS. A metaanalysis of chondroitin sulfate in the treatment of osteoarthritis. J Rheumatol. 2000;27(1):205-11.
4) HF11550 Pavelká K, Gatterová J, Gollerova V, Urbanová Z, Sedlácková M, Altman RD. A 5-year randomized controlled, double-blind study of glycosaminoglycan polysulphuric acid complex (Rumalon) as a structure modifying therapy in osteoarthritis of the hip and knee. Osteoarthritis Cartilage. 2000;8(5):335-42.
5) HF10338 Lequesne M, Maheu E, Cadet C, Dreiser RL. Structural effect of avocado/soybean unsaponifiables on joint space loss in osteoarthritis of the hip. Arthritis Rheum. 2002;47(1):50-8.


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