ガイドライン

(旧版)変形性股関節症診療ガイドライン

書誌情報
日本整形外科学会診療ガイドライン出版にあたって


日本整形外科学会理事長
中村耕三

近年,健康や医療に対する人々の関心が高くなってきている.骨,関節,脊椎などの「運動器疾患」については,これらの障害が日常生活での不自由さ,生活の質の低下に直結することから,特に関心が寄せられている.医療における質と安全についても国民の意識が高まってきており,医療の高度化,複雑化などに伴う医療内容のばらつきの拡大が懸念されている.これに対する取り組みの1つとして,国内外でさまざまな診療ガイドラインが作成され,公表されてきている.
診療ガイドラインは現在の膨大な医療情報を要約し,利用しやすいようにまとめたものである.日本整形外科学会では,平成14年度に診療ガイドライン委員会をつくり,その作成をスタートさせた.関連学会とも協力し,これまで「腰椎椎間板ヘルニア」,「頚椎症性脊髄症」,「大腿骨頚部/転子部骨折」,「軟部腫瘍診断」,「頚椎後縦靱帯骨化症」,「前十字靱帯(ACL)損傷」,「上腕骨外側上顆炎」,「骨・関節術後感染予防」,「アキレス腱断裂」の診療ガイドラインを,また一般患者向けに「患者さんのための頚椎後縦靱帯骨化症ガイドブック―診療ガイドラインに基づいて」「手足のしびれ,歩きにくい症状がある方に―診療ガイドラインに基づいた頚椎症性脊髄症ガイドブック」を出版してきた.そして,このたび,一般にも関心の高い「変形性股関節症診療ガイドライン」を出版できる運びとなった.
診療ガイドラインの目的は,医療現場で医師と患者の合意形成を助け,治療法の選択が適切に行えるように支援することにある.その内容はすべての患者の状況をカバーしているわけではなく,医療判断を強要するものでもない.個々の患者に対する判断は,あくまで患者の状況を考慮し個々の患者に適したものでなければならない.
日本整形外科学会では,良質の運動器医療を提供する学会活動の一環として,今後とも診療ガイドラインの作成,その普及,浸透を図っていく予定である.また,ガイドラインを作成しさらに充実したものにしていくには,ガイドラインの根拠となる臨床データが必要である.そのような臨床研究の推進も図っていかなければならない.
本診療ガイドラインは,診療ガイドライン委員会,関連学会で担当された先生方をはじめ,多くの方々の多大なご尽力により完成したものである.お世話くださった方々に,改めてお礼を申し上げたい.
本診療ガイドラインが,運動器診療のなかで広く活用され,国民の健康維持に役立つことを期待している.

2008年5月

 

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