ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

書誌情報
VIII:放射線療法・Photodynamic therapy

 
CQ-31 切除不能胆道癌症例に放射線療法は推奨されるか?

切除不能胆管癌症例に対しては放射線療法を行うことを考慮してもよい。(推奨度C1


切除不能胆道癌に対する放射線療法の目的は,延命(姑息的治療)あるいはステント開存性維持,減黄,疼痛緩和(対症的治療)などであることが多い。その有効性を示唆する報告は多いが,いままで大規模なランダム化比較試験は実現しておらずそのエビデンスレベルは低い1)。胆道癌の主症状は閉塞性黄疸であるが,照射による縮小効果は即効性でないため,胆道ドレナージが優先される。また,胆道ステントを留置せずに長期間の減黄維持は困難であることが多い2)(レベルV)ため,ステント留置が必要である。
切除不能胆嚢癌,乳頭部癌に関する放射線療法については報告が少なく,放射線療法の臨床的意義は定まっていない。切除不能胆管癌に対して,放射線療法は他の姑息的治療あるいは支持療法と比較して延命効果があるとする報告3),4)(レベルIV)は多い。広く臨床現場で利用されているものの大規模なRCTはなく,現段階での推奨度はC1とする。
切除不能胆管癌に対する標準的な放射線療法が確立されているとはいい難いが,80Gy以上の線量が照射可能な外照射と腔内照射の併用が,各単独治療と比較して良好な生存成績を認めることが多い5)ので,推奨される治療法と考える。なお,治療法選択の際,主に生存期間(率)について議論されることが多いが,放射線療法では,局所制御によるステント開存性の維持,疼痛緩和などが期待できることも利点の一つである。根治切除不能例で治療方針決定の際には,患者に放射線療法について説明すべきと思われる。
切除不能胆道癌に対して,放射線の増感効果・照射野以外の転移抑制もしくは転移病巣の制御を目的として化学療法との併用も試みられている。しかしながら,放射線療法単独と放射線療法と化学療法との併用とを比較したRCTはみられない。小規模な非ランダム化試験としてFooら6)が放射線外照射および腔内照射に5FUの全身投与の併用を試行し,有意差は得られなかったものの化学療法併用群における生存率の改善の可能性を示唆している(レベルIII)。併用する化学療法のレジメンについては5FU単独・5FU+MMC・MMC単独・CDDP+5FUなどが報告されているが(症例数:9〜58例,生存期間中央値:8〜30ヵ月)1),推奨されるレジメンの設定には至っていないのが現状である。抗癌剤の投与法は全身投与の報告が多いが,動注療法併用の試みもあり今後の評価が必要である。
胆道癌に対する放射線療法と化学療法の併用療法は,有効であるとの報告があるものの,標準的に化学療法を併用するべきか否かを現時点で決定することは困難である。また,食道癌や膵臓癌など他の消化器癌の局所進行例では,放射線療法と化学療法の併用療法が,放射線療法単独と比較し良好との報告が多いが7),8),9),膵癌術後症例の検討では化学療法単独が放射線療法と化学療法の併用療法よりも良好であったとの報告もみられ10),その評価は定まっていない。
今後,RCTの蓄積などによって,胆道癌に対する放射線療法と化学療法との併用療法が生存期間(率)の向上に寄与するか否かを明らかにしていく必要がある。


引用文献
1) Hejna M, Pruckmayer M, Raderer M. The role of chemotherapy and radiation in the management of biliary cancer: a review of the literature. Eur J Cancer. 1998;34:977-86.
2) Ishii H, Furuse J, Nagase M, Kawashima M, Ikeda H, Yoshino M. Relief of jaundice by external beam radiotherapy and intraluminal brachytherapy in patients with extrahepatic cholangiocarcinoma: results without stenting. Hepatogastroenterology. 2004;51:954-7.
3) Grove MK, Hermann RE, Vogt DP, Broughan TA. Role of radiation after operative palliation in cancer of the proximal bile ducts. Am J Surg. 1991;161:454-8.
4) Tollenaar RA, van de Velde CJ, Taat CW, Gonzalez Gonzalez D, Leer JW, Hermans J. External radiotherapy and extrahepatic bile duct cancer. Eur J Surg. 1991;157:587-9.
5) Shin HS, Seong J, Kim WC, Lee HS, Moon SR, Lee IJ, et al. Combination of external beam irradiation and high-doserate intraluminal bracytherapy for inoperable carcinoma of the extrahepatic bile ducts. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2003;57:105-12.
6) Foo ML, Gunderson LL, Bender CE, Buskirk SJ. External radiation therapy and transcatheter iridium in the treatment of extrahepatic bile duct carcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 1997;1;39:929-35.
7) Herskovic A, Martz K, a1-Sarraf M, Leichman L, Brindle J, Vaitkevicius V, et al. Combined chemotherapy and radiotherapy compared with radiotherapy alone in patients with cancer of the esophagus. N Engl JMed. 1992;326:1593-8.
8) Gastrointestinal Tumor Study Group. Treatment of locally unresectable carcinoma of the pancreas: comparison of combined-modality therapy (chemotherapy plus radiotherapy) to chemotherapy alone. J Natl Cancer Inst. 1988;80:750-5.
9) Okusaka T, Ito Y, Ueno H, Ikeda M, Takezako Y, Morizane C, et a1. Phase II study of radiotherapy combined with gemcitabine for locally advanced pancreatic cancer. Br J Cancer. 2004;91:673-7.
10) Neoptolemos JP, Stocken DD, Friess H, Bassi C, Dunn JA, Hickey H, et al. European Study Group for Pancreatic Cancer. A randomized trial of chemoradiotherapy and chemotherapv after resection of pancreatic cancer. N Engl J Med. 2004;350:1200-10.


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