ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

書誌情報
VII:化学療法

 
CQ-28 切除不能胆道癌に化学療法は有効か?

全身状態の良好な患者には化学療法の有用性が期待できる可能性がある。(推奨度C1


胆道癌における化学療法が生存期間の延長に有用かどうかは,無治療(支持療法)との比較試験による検証が必要である。これまで,小規模なRCT(レベルII)が2本報告されている1),2)
切除不能膵癌と胆道癌患者において化学療法と支持療法のRCTが行われた1)。化学療法として,fluorouracil(5-FU)+leucovorinあるいは5-FU+leucovorin+etoposideが用いられている。全対象で支持療法群(生存期間中央値MST 2.5ヵ月)に比べ化学療法群(MST 6.0ヵ月)で有意に生存期間の延長が認められた(p<0.01)(レベルII)。しかし,胆道癌患者に限ると37例と症例数が少なく,両群に有意差は認められていない(化学療法群MST 6.5ヵ月,支持療法群2.5ヵ月,p=0.1)。この試験ではQuality of life(QOL)の改善についても検討しており,化学療法群でのQOL改善率36%(膵癌38%,胆道癌33%),支持療法群での改善率10%(膵癌13%,胆道癌5%)と化学療法群で有意にQOLの改善が認められている(p<0.01)。
わが国において,切除不能の膵癌,胆嚢癌,胆管癌患者に対し5-FU+doxorubicin+mitomycin C(FAM)化学療法とバイパス術などの姑息手術とのRCTが行われた。いずれの群でも化学療法群での有意な予後の改善は認められなかったが,胆嚢癌では化学療法群で予後が良好であった2)(レベルII)。
胆嚢癌患者での後ろ向き解析において,化学療法と支持療法の比較が行われている。その結果,performance status(PS)2の全身状態が不良な例では化学療法の生存に関する利益はみられなかったが,良好な例(PS0または1)では化学療法群で有意な予後の改善が得られた3)(レベルIV)。
切除不能胆道癌に化学療法は有効かどうかについては,多数例のRCTに基づくエビデンスはない。しかし,QOLの改善と生存期間の延長について有効性を示唆する論文もみられることから,推奨度はC1とする1),2),3)
胆道癌に対する化学療法は切除不能の局所進行や遠隔転移を有する例,あるいは切除後の再発例に限られるべきである。全身状態の低下例(PS2,3)や減黄不良例などでは化学療法の利益は少なく,適応は慎重に考慮すべきである。このような患者では,疼痛コントロール,閉塞性黄疸に対する胆管内ステントの留置などQOLの維持を目指した症状緩和治療を行うべきと考えられる。


引用文献
1) Glimelius B, Hoffman K, Sjödén PO, Jacobsson G, Sellstrom H, Enander LK, et al. Chemotherapy improves survival and quality of life in advanced pancreatic and biliary cancer. Ann Oncol. 1996;7:593-600.
2) Takada T, Nimura Y, Katoh H, Nagakawa T, Nakayama T, Matsushiro T, et al. Prospective randomized trial of 5-fluorouracil, doxorubicin, and mitomycin C for non-resectable pancreatic and biliary carcinoma: multicenter randomized trial. Hepatogastroenterology. 1998;45:2020-6.
3) Ishii H, Furuse J, Yonemoto N, Nagase M, Yoshino M, Sato T. Chemotherapy in the treatment of advanced gallbladder cancer. Oncology. 2004;66:138-42.


【参照】
VII:化学療法 CQ-30 術後補助化学療法を行うことは推奨されるか?


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