ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

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VII:化学療法

 
はじめに

胆道癌における化学療法は切除不能の進行癌や切除後の再発例に適応されているが,多数例によるRCTはほとんど行われておらず,胆道癌における標準的な化学療法は確立しているとはいえない。胆道癌に対する化学療法の治療成績が数多く報告されているが,多くは臨床第II相試験相当の小規模な前向き試験か後ろ向き研究であり,高いエビデンスといえるものは少ない。
胆道癌取扱い規約によると,胆道癌には胆管癌,胆嚢癌,乳頭部癌が含まれるが,臨床試験や論文によっては肝内胆管癌も含めた治療成績が多く報告されている。それぞれの疾患ごとに臨床試験を実施することは,効率性や実現性から困難であり,これまで胆道癌に対する化学療法の臨床試験は胆道癌全体を対象に実施されてきた。しかしそれぞれの疾患ごとに治療方針,化学療法の感受性,予後など大きく異なることから,胆道癌における化学療法の治療成績は,背景因子などを十分把握しながら判断する必要がある。
今回のガイドラインでは,切除不能胆道癌に対する化学療法と術後補助化学療法についてこれまでの臨床試験や後ろ向き研究などの結果に基づいて言及した。2007年8月の時点で胆道癌に保険適応が承認されている抗癌剤は表2の通りである。本ガイドラインで言及された多くの薬剤はわが国では保険適応に承認されていない。胆道癌に対する有効な化学療法を開発するためには,積極的に臨床試験を実施することが勧められる。また標準治療の確立を目的とした多施設共同による大規模なRCT(第III相試験)を早急に進めていく必要がある。
胆道癌において根治的外科切除以外には治癒が望めないことから,切除不能の診断は慎重に行われる必要がある。なお,良性疾患を除外するために,原則として細胞診または組織診など病理診断による確認を行った上で治療を行うことが望ましい。今回の胆道癌に対する化学療法は最も頻度の多い腺癌を対象に記載しており,その他特殊な病理組織型に対する治療選択ついては各々文献などを参考に考慮されるべきと考えられる。


表2 胆道癌に対し保険適応が承認されている抗癌剤
代謝拮抗剤 テガフール・ウラシル配合剤(UFT®
  シタラビン(キロサイド®
  塩酸ゲムシタビン(ジェムザール®
  テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS-1®
抗生物質 塩酸ドキソルビシン(アドリアシン®
他剤との併用




 

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