ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

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VI:外科治療

 
CQ-19 上中部胆管癌に対して肝外胆管切除術は推奨されるか?

根治切除としては肝切除や膵頭十二指腸切除が望ましく,胆管切除のみは推奨できない。(推奨度C2
ただし,厳密な進展度診断を行った上で根治切除が可能と判断される症例には肝外胆管切除術も考慮される。


胆管癌に対する外科治療では肝門部・上部胆管に対しては胆管切除+肝切除,中下部胆管癌に対しては膵頭十二指腸切除(PD)が標準術式となっている。胆管癌の多くは,胆管長軸方向,胆管壁外方向への進展に加えリンパ節転移や神経周囲浸潤を高頻度に伴い,切除断端癌遺残とリンパ節転移が胆管癌術後の重要な予後因子であると報告されている1)(レベルIV)。したがって,通常の胆管癌では胆管切除+局所リンパ節郭清のみでは切除断端の確保が困難で,リンパ節郭清も不十分なことが多いと考えられる。しかし,リンパ節転移や神経周囲浸潤のない限局した胆管癌であれば,理論的には肝外胆管切除(BDR)により根治切除が可能となる2)
木下ら3)は47例の中部胆管癌に対してBDRを20例,PDを27例に施行し,BDRの3年以上の長期生存(7/20)が,PD(7/27)と差を認めなかったと報告している(レベルIV)。長期生存例の解析からBDRの良い適応として肉眼型が乳頭型または結節型,リンパ節転移を伴わないStage I症例で,肝切除や膵頭十二指腸切除では耐術困難な高齢者や全身状態不良例を推奨している。
Jangら4)は上部・中部胆管癌(総肝管癌あるいはBismuth type I,II)27例に対してBDRを施行し,5年生存率が28.0%(7/25)であり,中下部胆管癌に対するPDの30.1%(31/103)や上部・肝門部胆管癌に対する肝切除を伴う胆管切除の47.8%(11/23)と有意差を認めなかったと報告している。また,胆管癌の切除後予後因子は組織型とリンパ節転移であると報告している。BDRの適応としては組織所見が乳頭型または高分化腺癌のT1病変で,全身状態不良例を推奨している(レベルIV)。
BDRの良い適応は上・中部胆管に限局した乳頭型の病変で,明らかなリンパ節転移を認めない症例であり,術中に陰性断端を確認すべきである。なお,乳頭型の病変は,表層拡大進展する傾向が高いので上流・下流側の進展範囲を術前に精査すべきである。結節・浸潤型の病変では,原則として肝切除や膵頭十二指腸切除が望ましいが,耐術困難と判断される症例には本術式も考慮される。


引用文献
1) Kayahara M, Nagakawa T, Ohta T, Kitagawa H, Tajima H, Miwa K. Role of nodal involvement and the periductal soft-tissue margin in middle and distal bile duct cancer. Ann Surg. 1999;229:76-83.
2) Miyazaki M, Ito H, Nakagawa K, Ambiru S, Shimizu H, Shimizu Y, et al. Aggressive surgical approaches to hilar cholangiocarcinoma: hepatic or local resection? Surgery. 1998;123:131-6.
3) 木下壽文,中山和道,今山裕康,蓮田啓,奥田康司.中部胆管癌に対する胆管切除術の評価.胆道.1998;12:143-8.
4) Jang JY, Kim SW, Park DJ, A hn YJ, Yoon YS, Choi MG, et al. Actual long-term outcome of extrahepatic bile duct cancer after surgical resection. Ann Surg. 2005;241:77-84.


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