ガイドライン

(旧版)エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン[第1版]

書誌情報
V:術前胆道ドレナージ

 
CQ-11 術前胆道ドレナージとしては何が適切か?

閉塞部位にかかわらず,経皮経肝的,内視鏡的,観血的ドレナージのいずれを用いてもよい。ただし,各施設の設備,技術に応じた安全で習熟した方法で,確実にドレナージを行える手技を用いる。(推奨度B


術前胆道ドレナージとして何が適切かとする前に,術前の胆道ドレナージが必要かという問題に関して議論がなされてきた1)(レベルII)。CQ-10に解説されているように,現在では悪性疾患で膵頭十二指腸切除術が必要とされる場合でも術前胆道ドレナージは必要ではないとの報告がある2),3)(レベルIV)。しかし広範肝切除を必要とする肝門部胆管癌や肝門浸潤を有する胆嚢癌では,本邦では肝切除後の肝再生促進のために術前ドレナージが行われることが一般的である4)(レベルIV)。
胆道ドレナージ手段としては経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)と内視鏡的胆道ドレナージ(ENBDまたはERBD)と観血的ドレナージがある。しかし術前の胆道ドレナージの方法としてPTBDとENBDあるいはERBDを比較した論文は見当たらない。一方,切除不能例に対するステント療法の際のルートに関するRCTは行われており,特に下部胆管閉塞の場合は,減黄の成功率,合併症発生率から,経皮的ステントあるいは観血的バイパス術に対する内視鏡的ステントの優位性が報告されている5),6)(レベルII)。しかし,肝門部胆管癌などの複数胆管枝のドレナージが必要な場合には内視鏡的ドレナージは困難な場合があり,また胆管炎の問題などから経皮的ドレナージが有用と報告されている7)(レベルIV)。このような複数胆管枝のドレナージ法に関してはCQ-12を参照されたい。切除不能胆道癌に関する緩和処置としてのドレナージについてはCQ-34を参照されたい。

引用文献
1) Pitt HA, Gomes AS, Lois JF, Mann LL, Deutsch LS, Longmire WP Jr. Does preoperative percutaneous biliary drainage reduce risk or increase hospital cost? Ann Surg. 1985;201:545-52.
2) Takada T. Is preoperative biliary drainage necessary according to evidence-based medicine? J Hepatobiliary Pancreat Surg. 2001;8:58-64.
3) Sewnath ME, Birjmohun RS, Rauws EA, Huibregtse K, Obertop H, Gouma DJ. The effect of preoperative biliary drainage on postoperative complications after pancreatoduodenectomy. J Am Coll Surg. 2001;192:726-34.
4) 梛野正人,神谷順一,上坂克彦,新井利幸,山本英夫,早川直和,他.肝門部胆管癌における術前減黄は必要か? Segmental cholangitisをどうするか.胆と膵.2002;23:11-5.
5) Speer AG, Cotton PB, Russell RC, Mason RR, Hatfield AR, Leung JWC, et al. Randomised trial of endoscopic versus percutaneous stent insertion in malignant obstructive jaundice. Lancet. 1987;330:57-62.
6) Smith AC, Dowsett JF, Russell RC, Hatfield AR, Cotton PB. Randomised trial of endoscopic stenting versus surgical bypass in malignant low bile duct obstruction. Lancet. 1994;344:1655-60.
7) Hochwald SN, Burke EC, Jarnagin WR, Fong Y, Bulmgart LH. Association of preoperative biliary stenting with increased postoperative infectious complications in proximal cholangiocarcinoma. Arch Surg. 1999;134:261-6.


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