ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

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XII.緩和医療

 
要約

緩和医療はすべての癌領域で共通に行われるべき医療であるが,食道癌においては特に,嚥下障害,栄養障害,瘻孔による咳嗽などによりQOLの低下をきたす場合が多く,治療の初期から症状緩和やQOL保持・改善のための治療法を検討するべきである。しかしながら,その方法の決定は個々の施設に委ねられており,今後の評価が必要な分野である。


緩和医療は,治癒を目的とした治療に反応しなくなった患者に対する積極的で全人的な医療であり,痛み・その他の症状のコントロール,心理面・社会面・精神面のケアを最優先課題として,疾患の早い病期においても治療の過程においても適応されるべきものである(WHO)。以上のことは,すべての癌患者に対して共通であり,日常診療として行われているが,さらに精神腫瘍学専門医によるカウンセリングや社会福祉士によるソーシャルワークなども重要である。癌性疼痛に対しては,日本緩和医療学会作成の「がん疼痛治療ガイドライン」286)に基づいた方法が推奨される。
食道癌終末期患者に対する緩和医療としては,嚥下障害,栄養障害,瘻孔に起因する症状,遠隔転移による症状,高Ca血症などが特に問題になる287),288)。その中でも食道狭窄症状や瘻孔に起因する症状の改善としては,緩和目的での放射線療法,化学療法,(カバー付)ステント挿入,食道バイパス手術などが行われることがある〔IV.外科治療[D]その他の治療法の頁参照〕。放射線療法や化学療法がBest Supportive Careより生存期間延長効果があるかどうかを調べた研究は見当たらない。栄養障害に対しては中心静脈栄養法や胃瘻・腸瘻造設が行われることがある。しかしながら,食道癌患者における,それらの効果や安全性に関する評価はほとんどなされていない。

 

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