ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

書誌情報
X.食道癌治療後の経過観察

 
要約

食道癌治療後の経過観察の方法は,初回治療が何かによって,また初回治療時の癌の進行度によって分けて考える必要がある。再発の早期発見・早期治療により長期生存が可能な場合があることを念頭において,厳重かつ有効な経過観察システムを構築すること,および異時性食道多発癌や合併頻度が高い胃癌や頭頸部癌を中心とした異時性他臓器重複がんの発生に留意することが重要である。


EMR後の経過観察

EMR後の局所再発は,初回治療後1年以内に生じることが多いが,3年以上でも認められる266),267),268)。局所再発の検索はルゴール染色による食道内視鏡検査で行われ,6カ月毎の経過観察を行うという報告がある266),267),268)が,最初の1年間は3カ月毎に行うという報告もある269)。リンパ節再発・臓器再発は3年を過ぎて発見されることも多く267),定期的かつ長期の経過観察が必要である。検査法としては頸部・腹部US,胸腹部造影CT,EUSなどを用いて,6〜12カ月毎に行う。

根治手術後の経過観察

根治手術後の再発は27〜53%に認められ270),再発時期は再発症例の67〜79%が術後1年以内,80〜98%が2年以内に生じる271),272)。再発形式としては,リンパ節再発・局所再発・臓器再発・播種性再発があるが,複合再発であることも多い。
再発の検査は,主として頸部・腹部US,胸腹部造影CT,骨シンチなどを中心に行われる。検査の頻度は6カ月毎の施設が多いが,再発の高危険群には症例に応じて3〜4カ月毎の検査が行われる271),272),273)。一般に5年間の経過観察が行われている271),273)

根治的化学放射線療法後の経過観察

根治的化学放射線療法後の経過観察システムについての報告はほとんどなく,個々の施設毎に行われている〔IX.化学放射線療法の頁参照〕。再発の検索のみならず,放射線療法の晩期障害に対する経過観察も必要である248)VIII.放射線療法の頁参照〕。

異時性食道多発癌および他臓器重複がんに対する留意

食道癌は異時性に食道内に多発癌を生じることの比較的多い疾患である。また胃癌や頭頸部癌など異時性他臓器癌の発生も稀ではない。pN0症例の術後最大の死因としては他臓器癌であるという報告もある274)。このことを念頭に上部消化管内視鏡検査を施行し,咽頭から全食道(手術例では残存食道)および胃にかけて定期的かつ慎重に観察していく必要がある。さらに大腸癌,その他の癌の発生にも留意していく必要がある。

 

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