ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

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VI.術後補助療法

 
Clinical Question

CQVI-1 治癒切除症例に術後化学療法は推奨されるか。
Answer JCOG食道がんグループが行った手術単独と2コースの術後化学療法(5-FU/シスプラチン)併用とのランダム化比較試験JCOG9204では,術後化学療法によって手術単独に比較して無再発生存率が有意に向上したが,生存率では有意差を認めなかった179)。5-FU/シスプラチンを用いた欧米のランダム化比較試験では術後化学療法の有用性は認められず180),術後化学療法が治癒切除例の生存率を向上させるという根拠はない。しかしながら,JCOG食道がんグループのランダム化比較試験では無再発生存率が有意に向上しており,生存率でも有意差はないものの5年生存率は手術単独で52%であったものが術後化学療法群で61%に向上した181)。特にリンパ節転移を有する症例(pN+)での術後化学療法による無再発生存率の向上が明らかであった。リンパ節郭清精度の高いわが国手術の特性を考慮し,わが国での根拠を重視すると,術後化学療法は術後再発予防に意義があるものと考えられる。
推奨事項 治癒切除の行えた全身状態が良好な症例には,術後再発予防の目的で術後化学療法を推奨する。[グレード B]


CQVI-2 治癒切除症例に予防的術後照射は推奨されるか。
Answer わが国では術前照射+術後照射より術後照射の方が生存率を改善するとのランダム化比較試験の結果181),一時期予防的術後照射が一般に行われていた。一方,海外で行われた手術単独と術後照射(通常分割法で45~60Gy)のランダム化比較試験4報では,術後照射によって照射部位の局所再発は有意に低下するものの,生存率の有意な向上を認めていない182),183),184),185)。したがって治癒切除後の術後照射は標準治療とは認められない。ただし,中国で行われた大規模ランダム化比較試験のサブセット分析では185),III期症例に限れば有意に生存率を向上させているので術後照射も適切な対象を選べば意義がある可能性も残っている。
推奨事項 治癒切除後の予防的術後照射は局所再発を低下させるものの,生存率の向上を認めず,標準治療として推奨するだけの根拠はない。[グレード C]


CQVI-3 治癒切除症例に予防的術後化学放射線療法は推奨されるか。
Answer 吻合部を含む広範な術後照射野と化学療法を併用し局所再発を著しく減少させたとの遡及的報告はあるものの186),わが国で行われた術後化学療法と術後化学放射線療法との小規模ランダム化比較試験では両群に差がなかった187)。本報告以外に予防的術後化学放射線療法のランダム化比較試験はなく181),術後化学放射線療法の意義は不明である。
推奨事項 治癒切除症例に術後化学放射線療法を推奨できるだけの十分な根拠はない。[グレード C]


CQVI-4 非治癒切除例に術後(化学)放射線療法は推奨されるか。
Answer 非治癒切除例を対象とした術後照射のランダム化比較試験はない。遠隔転移のない術後残存例や術後局所再発例には(化学)放射線療法が有効との報告がみられ188),189),また実地臨床で非治癒切除例に術後(化学)放射線療法が行われることが多い。遠隔転移がなく術後残存腫瘍のある非治癒切除例に何らかの局所療法は必要であり,(化学)放射線療法はその一つの有用な治療法と考えられるが,十分な根拠はない。
推奨事項 ランダム化比較試験はないが,遠隔転移がなく残存腫瘍のある非治癒切除例に(化学)放射線療法は有用な治療法である。[グレード C]

 

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