ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

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IV.外科治療

 
要約

癌の発生部位,深達度,転移の有無,患者の全身状態などによって治療方針は大きく異なる。癌の進行度を加味して,すでに日常の臨床で施行されているものと,まだエビデンスは乏しいが,臨床研究段階にある治療法に大別できる。
食道切除時の口側断端の距離,リンパ節郭清の範囲,再建に用いる臓器と再建ルート,化学療法や放射線療法における使用薬剤や照射線量などは,各施設で種々施行されており,エビデンスに基づいた現時点で最も妥当と考えられる標準的な治療法を1つだけに絞り込むことは困難である。

食道癌のうち深達度がEPあるいはLPMで周在性2/3以下と診断された病変は,一般にEMRの適応であり,これにより根治性が得られると考えられる。ただ,広範囲にひろがる早期癌ではリンパ節郭清を行わない食道切除再建を行うことがある。癌が粘膜筋板に達したものでは約9.3%のリンパ節転移率がみられ,深達度が深くなるにつれて転移率は高くなり,粘膜下組織に深く入ったものでは50%程度の転移率である6)。表在癌であってもリンパ節転移がある程度疑われるものに対してはT2以上の癌に準じてリンパ節郭清を行う,とする意見が一般的である51)。T4症例は治癒切除が可能であると判断される場合に限り手術を考慮してもよい。


【参考文献】
6) 小山恒男,他:転移のあったm3・sm1食道癌の特徴.胃と腸 37:71-4,2002
51) 新井正美,他:胸部食道癌におけるリンパ節転移の特徴と治療上の問題点.日癌治療会誌 34:308,1999

 

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