ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

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III.内視鏡的治療(Endoscopic treatment)

 
内視鏡的切除の適応

内視鏡的切除の適応

内視鏡的切除術(endoscopic resection:ER)には従来の病変粘膜を把持,もしくは吸引し,スネアにより切除を行う内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)と,ITナイフ,Hookingナイフなどによる広範囲の病変の一括切除が可能な内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)の方法がある。その他の内視鏡的治療として光線力学的治療(PDT),アルゴンプラズマ凝固法,電磁波凝固法が行われる。

要約

内視鏡的切除の適応:壁深達度が粘膜層(T1a)のうち,EP,LPM病変では,リンパ節転移は極めて稀であり,これにより十分に根治性が得られる。粘膜切除が全周に及ぶ場合,粘膜切除後の瘢痕狭窄の発生が予測されるため周在性2/3以下の病変を適応とする。壁深達度が粘膜筋板に達したもの,粘膜下層に浸潤するもの(200µmまで)ではリンパ節転移の可能性を認めるが,臨床的にリンパ節転移がない症例では粘膜切除が可能であり,相対的適応となる。また粘膜切除が全周性になる病変でも相対的適応となる。粘膜下層(T1b)に深く入ったもの(200µm以上)では50%程度の転移率があり6),38),表在癌であっても進行癌(固有筋層以深へ浸潤した癌)に準じて治療を行う。
切除組織標本による診断:各種壁深達度診断には限界があり,さらに広範囲な病変では壁深達度の正確な診断は困難である。そのため切除組織標本による診断が不可欠である。
内視鏡的粘膜切除不能病変に対する治療:EMRの辺縁遺残病変や,放射線療法や化学放射線療法の遺残あるいは再発病変などによる粘膜挙上困難例,出血傾向のある症例などの内視鏡的切除不能症例に対する治療の選択肢として,光線力学的治療(PDT),アルゴンプラズマ凝固療法(APC)などを考慮する。
一括切除の優位性:切除標本の組織的診断において一括切除が望ましい。従来分割切除されていた病変もESDにより,一括切除が可能になり,今後の機器の開発,技術の普及が期待される。
偶発症:ESDを含む内視鏡的切除では,切除に伴う出血,食道穿孔,切除後の瘢痕性の狭窄など合併症が報告されており,その予防,対策,治療について周知が必要である。切除組織診断における追加治療の要否については,さまざまな議論がなされている7)

 

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