ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

書誌情報
II.食道癌の診断

 
B.全身状態の評価
Clinical Question

CQII-5 食道癌周術期合併症危険因子はどのようなものが報告されているのか。
Answer 術前のリスク因子としては,当該施設年間手術症例数,年齢(>70歳),性別(男性>女性),腫瘍進行度,飲酒歴,喫煙歴,慢性閉塞性肺疾患の既往,低栄養,呼吸機能(動脈血酸素分圧,肺活量,%FEV1.0低下),心機能(心疾患の既往,労作時呼吸困難,駆出率<40%),肝機能(肝硬変・腹水の存在,血清アルブミン低値,血清ALP高値),腎機能(血清BUN高値),術前補助療法などが報告されている30),31),32),33),34)。しかしながら,単一の指標で数値判断することは容易ではなく,総合的リスク評価が求められる。


CQII-6 耐術能を総合評価するスコアリングシステムはあるのか。
Answer Physiological and operative severity score for the enumeration of mortality and morbidity(POSSUM)scoreや,American Society of Anesthesiology(ASA)grade, composite risk scoreによる身体機能のgrading systemなどが報告され,術後合併症発症や手術関連死亡の予測に有用である可能性が示されている30),35),36),37)


CQII-7 化学療法,放射線療法,化学放射線療法の施行に際して一定の基準はあるのか。
Answer 使用する抗腫瘍薬剤の種類や用量,また放射線照射野の大きさによりこれに耐えうる臓器機能も異なるため明確な数値基準を記載することは困難であるが,現在多施設共同試験として施行されている臨床試験における全身状態に関連した登録基準を参考として下記に記載する。年齢に関しては,個々の臨床試験においては登録基準が設けられているが,実地臨床では暦年齢よりも個々の症例の臓器機能,活動状態を総合的に判断することが望ましい。また,化学放射線療法や手術療法と併用する化学療法などに比して,放射線単独療法の場合治療に伴う侵襲は少ないものと想定されるため,全身状態不良の症例も治療対象となることがある。
下記の基準は,あくまで臨床試験においてこれを満たした場合に食道癌に対する治療を行う対象として問題ないという目安であり,これに満たない場合は個々の状況に応じて判断する。

Performance status(ECOG)が 0,1,2のいずれかである。
白血球数≧4,000/mm3
ヘモグロビン≧10g/dL
血小板数≧100,000/mm3
総ビリルビン≦1.2mg/dL
GOT≦施設基準値上限×2倍
GPT≦施設基準値上限×2倍
クレアチニン≦1.2mg/dL
BUN≦25mg/dL
クレアチニンクリアランス≧60mL/min(計算値可)
PaO2≧70Torr

 

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