ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

書誌情報
「食道癌治療ガイドライン」の
「食道癌診断・治療ガイドライン」への改訂にあたり

 
食道癌診断・治療ガイドライン検討委員会
委員長
 桑野  博行

食道癌治療ガイドラインは日本食道疾患研究会(現:日本食道学会)のもとに設置された「食道癌の治療ガイドライン作成委員会」を中心として編集され,2002年(平成14年)12月に出版された。初版ガイドラインに記載されているように,食道癌の日常の診療に役立てることを目的に,多くの施設に共通して使用でき,現時点で最も妥当と考えられる食道癌の標準的な治療法を推奨する食道癌治療ガイドラインが作成された。しかし食道癌に対する治療も変化しており,またその治療指針にはさまざまな問題があり,画一的な治療法を作成することは困難な点が多く存在する。その特異的な問題点を考えると以下のごとき点が挙げられる。
  • 一般に高齢者に多く発生し,諸臓器の機能障害を有していたり,標準治療として提示された治療法を希望しない場合もあり,患者側の要因が大きく治療方針に影響を与えることが多い。
  • 食道癌手術は侵襲も大きく,また一方化学・放射線療法は,他の消化器癌に比較して有効なことも多く,早期癌から進行癌に至るまで,多くの治療法の適応ともなり得,各進行度を通じ,治療法の多様化と選択肢が多岐にわたるのが現実である。
  • 上記のような現状にもとづき,信頼度の高いエビデンスが得られ難く,また実際に,そのような文献が必ずしも多いとはいえない。
  • 外科治療だけに限ってみても,たとえば頸部食道癌手術における喉頭温存の問題や,食道切除後の再建臓器,再建経路の選択,さらに手術前後の補助療法などその選択肢がきわめて多数である。
以上のような食道癌診療における特異性を踏まえて,食道癌治療ガイドラインのより良い改訂作業を新たに日本食道学会に設置された「食道癌診断・治療ガイドライン検討委員会」において進めてきた。さらに厚生労働医療技術評価総合研究事業「がん診療ガイドラインの適用と評価に関する研究」の指針も考慮に加えた。
このような現況に鑑み,今回新たに改訂を行ったポイントは以下のごとくである。
  • 「診断」「食道癌治療後の経過観察」および「緩和医療」の分野を加えた。特に「診断」の項では病変自体の診断に加え,「全身状態の評価」について言及した。
  • 各項目ごとに「Clinical Question」を設け,その各々に対する推奨レベルを「Center for EBM」による分類(A〜D)(表1)に基づき,委員会としての推奨度も加味して判断し,記載した。

    表1 勧告の強さの分類
    A. 行うよう強く勧められる
    B. 行うよう勧められる
    C. 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない
    D. 行わないよう勧められる

  • 各項目ごとに参考文献を項目の最後に記載した。
  • さらに,「ガイドライン評価委員会」を本学会で新たに設置していただき,客観的評価を受ける体制を整備した。
以上のごとき改訂を含め,本ガイドラインのさらなる内容の充実に向けて今後も検討を重ねてゆく所存である。

2007年3月


食道癌診断・治療ガイドライン検討委員会
 
委員長 桑野   博行    群馬大学大学院病態総合外科
副委員長 西村   恭昌 近畿大学医学部放射線科
委員 大津      敦 国立がんセンター東病院内科
  加藤   広行 群馬大学大学院病態総合外科
  北川   雄光 慶應義塾大学医学部外科
  玉井   拙夫 津久井保健福祉事務所
  藤   也寸志 国立病院機構九州がんセンター消化器外科
  松原   久裕 千葉大学大学院先端応用外科
ガイドライン評価委員会
 
委員長 安藤   暢敏    東京歯科大学市川総合病院外科
委員    有馬美和子 埼玉県立がんセンター消化器内科
  石倉      聡 国立がんセンター東病院放射線科
  宇田川晴司 虎の門病院消化器外科
  安田   卓司 近畿大学医学部外科
(五十音順)
 

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