ガイドライン

(旧版)食道癌診断・治療ガイドライン 2007年4月版

書誌情報

 
日本食道学会会長
幕内  博康

食道癌に対する積極的な治療が行われるようになって,未だ80年ほどにすぎない。食道癌は大腸や胃癌と比べて悪性度が高く,頸胸腹部に広くリンパ節転移をきたすとともに隣接する重要臓器に浸潤しやすく,その治療は現在でも困難である。先輩諸兄の御努力により外科的根治術の進歩にはめざましいものがあり,さらに各種内視鏡治療の開発,化学療法剤の開発,放射線治療機器の進歩,化学・放射線療法の発展,緩和医療の再検討,などが行われてきた。治療法の進歩とともに診断学の進歩にも目をみはるものがあり,早期病巣発見例の増加に加えて食道癌の病態解明にも大きな役割を果たしてきた。これらにより,食道癌も治療可能な癌の仲間入りを果たしたと思われる。
本ガイドラインは,2002年の初版本に新しく改訂を加えたものであるが,医学の進歩は急速でなかなか追いつくのは難しいところもある。また,食道癌の治療は,癌そのものの病態に加えて,担癌患者の高齢化による全身諸臓器の機能低下や併存疾患が多いことなど,均一化することは困難でもある。外科的治療のみならず,化学療法,放射線療法においても施設間格差が大きく,また症例数も限られていることから,信頼性の高いエビデンスが得にくい難点もある。
多岐にわたる診断法・治療法を踏まえて,一般的な多くの施設で共通して使用可能と考えられるガイドラインが示されたわけで,桑野博行ガイドライン検討委員会委員長,安藤暢敏評価委員会委員長はじめ,委員の先生方,御査読いただいた理事の先生方の御努力に感謝申し上げたい。
本ガイドラインは,食道癌の診断・治療の大枠を示したもので,各施設での患者個々における診断・治療の細部までを規定するものではないことは,初版に示された磯野可一会長の序にも書かれているとおりである。今後も医学の進歩とともに弛みない改訂作業が必要であり,より良いものとなるようさらなる努力を続けていきたいと考える。

2007年3月

 

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