ガイドライン

(旧版)骨・関節術後感染予防ガイドライン

書誌情報
第2章 術前・術中での術後感染予防のための管理,対策

 
術者に対する管理,対策

Research Question 9
人工関節置換術等の骨・関節手術では,手術用手袋を2枚重ねて使用することにより術後SSIが減少するか


要約

 Grade B   手術用手袋を二重にすると穿破率が減少する.
 Grade C   人工関節置換術中に手袋が穿孔すると,術後SSIの危険性が増加する.

背景・目的

手術用手袋を二重にした場合のSSI予防効果について概説する.

解説

人工膝・股関節置換術後のSSI発生の危険因子に関する前向き研究で,人工股関節置換術で手袋の穿孔が統計学的危険因子として指摘されている(IF01266, EV level 5).
また,手袋の穿破に関しては詳細なデータがある.ラテックス手袋を二重にした場合と一重の場合では,最外側の手袋(一重の場合最外側=最内側)の穿孔に差はなく,最内側の手袋で有意に二重の手袋の穿孔が少なく,外側に布製の手袋をしたほうがより穿孔が少ないことが報告されている(IF00034, EV level 3).別の報告では人工関節置換術時の手袋の穿孔率は25%に及び,特に非利き手母指,示指に多いとされ,さらに二重にした手袋の両方が破れていても,そのうち20%のみしか術中に自覚できなかったと報告されている(IF01227, EV level 6).小児整形外科領域でも14%に手袋の穿孔が発生し,術中に確認できたものはそのうち7%であり,特に脊椎外科手術での穿孔が多いと報告されている(IF01381, EV level 6).手術用手袋の穿破が直接的にSSIを引き起こすという根拠は少ないが,手袋穿孔によるSSI誘発の潜在的危険性と術者への感染の伝播という2つの危険性を考えると,少なくとも生体内材料を用いる人工関節置換術や,感染に対するハイリスク患者,脊椎手術(IF01136, EV level 5)等,あるいは感染症を有する患者等では手袋を二重にすることが推奨される.

文献

1) IF01266 Wymenga AB, van Horn JR, Theeuwes A, Muytjens HL, Slooff TJ. Perioperative factors associated with septic arthritis after arthroplasty. Prospective multicenter study of 362 knee and 2,651 hip operations. Acta Orthop Scand. 1992;63(6):665-71.
2) IF00034 Tanner J et al: Double gloving to reduce surgical cross-infection. Cochrane Database Syst Rev 3:CD003087,2002.
3) IF01227 Chiu KY, Fung B, Lau SK, Ng KH, Chow SP. The use of double latex gloves during hip fracture operations. J Orthop Trauma. 1993;7(4):354-6.
4) IF01381 Maffulli N, Capasso G, Testa V. Glove perforation in pediatric orthopaedic surgery. J Pediatr Orthop. 1991;11(1):25-7.
5) IF01136 Savitz SI, Lee LV, Goldstein HB, Savitz MH. Investigations of the bacteriologic factors in cervical disk surgery. Mt Sinai J Med. 1994;61(3):272-5.

 

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