ガイドライン

(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2010年版

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Clinical Questions

 


CQ10:切除不能肝転移に対する化学療法
推奨カテゴリーB
化学療法が奏効して切除可能となった肝転移には肝切除を考慮すべきである。
切除不能肝転移に対する肝動注療法と全身化学療法の生存期間の延長効果には明らかな差は認められていない。



切除不能と判断される肝単独転移例に対する化学療法の有効性と安全性に関しては,いまだ十分なエビデンスの集積はなされてはいないのが現状であるが109),112),279),近年,全身化学療法後に根治切除が可能になる症例が報告されるようになってきた280)。化学療法が奏効して切除可能となった症例の予後は,当初から切除可能な肝転移例と同程度であるとする報告が多く112),279),281),このような肝転移に対しては切除を考慮すべきである。ただし,全身化学療法後に切除を行っても当初から切除可能な肝転移例ほどの予後は期待できないとの報告があることにも留意すべきである282)
切除不能肝転移に対する肝動注療法は,肝転移巣に対する奏効率は高いが,生存期間への効果は明らかでない142)。CALGB-9481試験は,大規模RCTとして肝動注療法が奏効率,生存期間ともに全身化学療法(5-FU+LV静注療法)を凌駕する成績を示したが283),その後に報告されたメタアナリシスでは,肝動注療法は全身化学療法よりも肝転移巣に対する奏効率は高いが,生存期間への効果は認められなかった284)。ただし,解析対象の大部分がFUDRベースであったこと,全身化学療法との併用が考慮されていなかったことなどから,解析自体に対する反論も少なくない。PhaseI試験ではあるが,FUDRの肝動注療法とL-OHPを含む全身化学療法の併用で,奏効率88%,MST22カ月以上とする報告もあり,全身化学療法と肝動注療法の優劣を決するにはさらなる検討が必要である285)

 

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