ガイドライン

(旧版)大腸癌治療ガイドライン医師用 2010年版

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各論

 

7.緩和医療




 ・  緩和医療とは,がんにかかわる精神的,身体的なさまざまな症状に対する緩和治療の総称である。
 ・  緩和医療は,がんの診断がついた時点から終末期までを包括する医療であり,病期や症状により,実施すべき内容が異なる。
 ・  がん治療は症状緩和が図られた状態で行うことが原則であり169),外科治療や化学療法の当初から緩和医療を導入すべきである。
 ・  大腸癌終末期におけるQOL向上のための緩和医療には以下のものが含まれる。
(1) 疼痛緩和
(2) 外科治療
(3) 化学療法
(4) 放射線療法
(5) 精神症状に対するカウンセリング



 コメント 

(1) 疼痛緩和のための薬物療法は,WHOのステップラダー(3段階除痛ラダー)169)および日本緩和医療学会の『がん疼痛治療ガイドライン』170)に基づいて行うことが望ましい。
(2) 骨盤内再発における臀部痛等には神経ブロック171)が有効なことがある。
(3) 骨盤内再発や骨転移などによる疼痛には放射線照射172),173),174)が有効なことがある(「6.放射線療法 2)緩和的放射線療法」参照)。
(4) 疼痛の原因となる責任病巣(原発巣や皮下転移,リンパ節転移など)に対する姑息的切除,責任病巣のバイパス手術175)・人工肛門造設176)が有効なことがある。
(5) 腸管閉塞による経口摂取不能状態の改善や出血のコントロールを目的として,バイパス手術,人工肛門造設術を考慮する。外科治療が不可能な腸管閉塞に対しては,経肛門的なステント留置(ただし,保険適応外)が177),178),随伴する嘔気・嘔吐などの消化器症状の緩和には酢酸オクトレオチド179),180)投与が有効なことがある。
(6) 尿管閉塞に対して,尿管ステント留置,腎瘻造設術などを考慮する。
(7) 疾病や予後に対する不安に対してはカウンセリングが有用である181)。精神症状には,適切な薬物療法による症状緩和を行う。
(8) 現時点では,緩和医療の生命予後への寄与度は明らかでないが,ホスピスケアを受けた肺癌と膵癌患者の生存期間がホスピスケアを受けてない患者よりも有意に延長したとの報告がある182)
(9) 緩和医療のアウトカム計測のためのQOL評価法の確立が課題である。大腸癌術後のQOL評価法にはEORTC-QLQ-CR38183)があり,疼痛緩和における代表的なQOL評価法にはBrief Pain Inventory(BPI)184)がある。当面は,これらの評価法を利用しながらQOLを評価し,データを集積していくことが望ましい。



 

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