ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく
膵癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
 
CQ1 診断法


CQ1-4 膵癌の診断法:セカンドステップは何か?

【エビデンス】
1.CT(造影も含む)とUS
CTは病変の大きさ,位置や拡がりが捉えられるばかりでなく,造影剤の造影効果より病変の血流動態が把握できることから,質的診断において欠くことのできない検査である。ただし,造影剤を使用しない単純CTの単独使用は膵癌の診断には適さない。USは低侵襲でありCTより分解能が高いこと,ある程度の質的診断が可能であることから最初に行われる検査である。USはCTとほぼ同等の成績1),2)と考えられる(レベルIV〜V)が,USは2cm以下の病変の検出能がCTより優れているとするデータがあり,特に造影USでは感度95%とCTの感度68%に比し有意に高い3)。一方,CTは診断装置の発達により,小さいスライス幅やDynamic CTの撮像が可能となり,USより高い診断能を有するとの報告1),2)もある。このようにUS,CTは相補的であることから膵癌の質的診断の最初に行うべき検査と考えられる。

2.ERP,MRCP
正常の膵管像を呈する膵癌は3%未満であると報告4)がされており,CT,USなどの他の検査において診断できない場合に施行されるべき検査である(レベルV)。一方,膵炎においても膵管像に変化がみられることからERPにおける感度は70〜86%,特異度は67〜94%と報告5),6)されている(レベルIII,IV)。MRCPはERPとの比較試験において感度および特異度に有意差が認められないが,低侵襲であることを理由にMRCPを推奨する報告5)がなされている(レベルIII)。また,MRCP単独の検討であるが感度が95%,特異度が82%との報告7)もあることから,MRCPの診断能はERPとほぼ同等と考えられる(レベルIV)

3.EUS
超音波内視鏡は消化管のガスの影響を受けることがほとんどないこともあり,感度86〜100%,特異度58.3〜97%,正診率93%と比較的良好な成績6),8),9),10)が報告されている(レベルIV〜V)。しかし,ドプラーによる血流の評価を付加したEUSとCTとの比較検討を行った報告11)やDynamic CTとEUSとの比較8)でも両者に差は認めていない。したがって,膵癌の質的診断におけるEUSはCTを凌駕する検査法とは考えられない(レベルIV,V)

4.PET
PETは良悪性の診断において保険適用が認められることから良悪性の鑑別に用いられており,感度は82〜92%と報告12),13)されている(レベルIV)。CTより感度が優れているとする報告もみられるが,腫瘍径が2cmを超える病変の感度が100%であるのに対して2cm以下では68.8%と低下するとの報告14)もあり,小病変に対する診断能が問題である(レベルV)。さらに,CTや超音波検査と異なり,腫瘍の進展度診断は困難であることから,良悪性の鑑別が困難な場合に用いられる検査と考えられる。


 

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