ガイドライン

(旧版)科学的根拠に基づく
膵癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
 
CQ1 診断法


CQ1-1 膵癌の危険因子は何か?

【エビデンス】
1. 膵癌患者の4〜8%は家族歴に膵癌があり1),2)(レベルI)3),4)(レベルIV),対照群に比べ13倍と高率である2)(レベルI)。また,遺伝性膵炎,家族性大腸腺腫ポリポーシス,Peuts-Jeghers症候群,familial multiple mole melanoma症候群,家族性乳癌などの遺伝性疾患では膵癌発生率が高く1),2),5),6)(レベルI),遺伝性膵癌症候群とも呼ばれる。
   
2. わが国の膵癌全国登録調査報告3)によると,膵癌患者の既往歴では糖尿病が17.7% と最も頻度が高い3),4)(レベルIV)。米国では膵癌の糖尿病合併率が60〜81%と報告され,その多くが膵癌診断の2年以内に発症している1)(レベルI)
   
3. 慢性膵炎の膵癌発生の相対的危険度は4〜8といわれ1)(レベルI),わが国でも慢性膵炎の膵癌発生率は一般人口に比べ10〜20倍高い7)(レベルV)
   
4. 遺伝性膵炎は,同一家系に2世代以上にわたり複数の膵炎患者がいて,若年発症で胆石やアルコールの関与がない膵炎と定義される。最近,いくつかの原因遺伝子が同定されてきた。このような遺伝性膵炎患者の膵癌発症危険率は健常人の53倍と報告5)(レベルI)される。若年発症膵炎では,膵炎の罹病期間が長期間にわたることから膵癌発生率が高い8)(レベルI)
   
5. 喫煙は膵癌発症の危険率を明らかに増加させる1),5),9)(レベルI)10)(レベルV)。男性では禁煙により膵癌の22%は予防できると期待される8)
   
6. その他
コーヒーと膵癌の関係は不明との報告10)もあるが,用量依存性に膵癌危険率が増加するという報告もある11)(レベルI)12)(レベルI)。また,肥満9),ヘリコバクターピロリ感染13)(レベルII)などでも,膵癌リスクの増加が報告されている。


 

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