ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

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書誌情報
第8章 緩和医療

 
CQ4  前立腺癌の進展に伴う水腎症から腎機能低下をきたしている場合にどう対処すべきか?

推奨グレード B
未治療の前立腺癌で尿管の狭窄から腎機能の低下をきたしている場合はエコーガイド下に経皮的腎瘻(Percutaneous nephrostomy, PNS)を造設する。

 背 景
進行性前立腺癌で水腎症をきたす場合,3つの原因が考えられる。1つは前立腺癌が直接膀胱に浸潤することから尿管口の狭窄をきたす場合で,2番目はリンパ節転移による尿管の圧迫から水腎症をきたす場合である。3番目は前立腺癌の腫大に伴い残尿量の増加から水腎症をきたす場合である。両側の尿管が同時に閉塞した場合や3番目の前立腺自体による下部尿路閉塞は腎後性腎不全から尿毒症に至る可能性もあるため迅速な診断と処置が必要である。

 解 説
前立腺癌の進展に伴い尿路閉塞が出現する頻度は3.3-16%と報告されており,尿路閉塞症状を伴わない前立腺癌に比較してその予後は有意に不良である1)(III)前立腺癌の腫大による下部尿路閉塞から水腎症をきたしている場合にはカテーテル留置あるいは前項であげた経尿道的前立腺切除術(TURP)が適応となる。尿管による狭窄から水腎症をきたしている場合は尿管ステント,尿管皮膚瘻,経皮的腎瘻(percutaneous nephrostomy, PNS)が治療手段として考えられる。前立腺癌が初発で内分泌療法を考慮している場合,一時的にせよ病状が好転することが期待できるため積極的な治療を試みるべきである。しかしながら,内分泌療法を含めた種々の治療法に対し抵抗性となった前立腺癌で水腎症をきたした場合の予後は極めて不良であるためPNSの造設に関しては慎重に考慮すべきである2)尿管ステント,尿管皮膚瘻,経皮的腎瘻(Percutaneous nephrostomy, PNS)の優劣を比較検討したRCTはないが,尿管ステントもしくはPNSが尿管皮膚瘻に比べ低侵襲である。特に超音波ガイド下のPNS留置術は侵襲も少なく手技が簡便な上長期にわたる留置も可能であるため第一選択として考えるべきである。尿管ステントは体内に留置するため患者の利便性は高いが悪性腫瘍による尿管閉塞では再狭窄をきたしやすい3)(IV)


 参考文献
1) Oefelein MG. Prognostic significance of obstructive uropathy in advanced prostate cancer. Urology. 2004;63(6):1117-21.
2) Watkinson AF, A'Hern RP, Jones A, et al. The role of percutaneous nephrostomy in malignant urinary tract obstruction. Clin Radiol. 1993;47(1):32-5.
3) Docimo SG, Dewolf WC. High failure rate of indwelling ureteral stents in patients with extrinsic obstruction:experience at 2 institutions. J Urol. 1989;142(2 Pt 1):277-9.

 

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