ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
第6章 薬物療法

 
CQ11  内分泌療法に伴う有害事象はどのようなものがあるか?

推奨グレード B
内分泌療法に伴う有害事象は存在する。

 背 景
内分泌療法に用いられる主な薬剤と,その有害事象について述べる。

 解 説
LH-RH投与に伴う有害事象の一つに,前立腺癌随伴症状の増悪(骨性疼痛,尿路閉塞,排尿困難,脊髄圧迫)がある(0.1-5%)。これは,LH-RH投与によるテストステロンの一過性上昇によるものと考えられ,抗アンドロゲン剤を同時に投与することによってコントロール可能である1)(II)。そのほかに,ほてり,熱感,頭痛,顔面潮紅,めまい,発汗,性欲減退,ED,女性化乳房,乳房腫脹・圧痛,精巣萎縮,会陰部不快感などを認める。長期の投与により骨塩量の低下を認める。また注射部位の疼痛,硬結,発赤,皮下出血,膿瘍を認めることがある。
Bicalutamide投与に伴う有害事象は,乳房腫脹(44.5%),乳房圧痛(41.9%),ほてり(14.5%),勃起力減退(7.5%),肝酵素上昇(5.3%),総コレステロール上昇(5.3%)などである。頻度は0.1%未満であるが,肝機能障害や黄疸を認めることがあり,また,頻度は不明であるが白血球減少,血小板減少,間質性肺炎が認められることがある。また,クマリン系抗凝固剤の作用を増強することがあり,トルブタミド,デキストロメトルファンの作用を増強するおそれもあるので注意をする。
フルタミド投与に伴う有害事象は,1%以上のものに,女性化乳房,悪心・嘔吐,食欲不振,下痢,貧血,肝機能障害があり,1%未満ではあるが,めまい,ふらつき,うつ状態,胸やけ,胃痛などがある。0.5%程度であるが,重篤な肝障害を認めるので,投与後1カ月に1回は肝機能の検査が必要である。また,0.1%未満であるが間質性肺炎を認めることがある。
これらの有害事象の中で,antiandrogen剤の単独投与による女性化乳房が30%以上認め,この有害事象が薬剤コンプライアンスの低下の一つの原因となっている。最近,bicalutamide投与と同時にtamoxifenを投与することによって女性化乳房の発現を抑制したと報告されている2)(II)
その他,投与する薬剤によって有害事象のプロファイルは違う3)(II)ので,使用する薬剤の説明文書を十分読んで有害事象をあらかじめ知っておく必要がある。


 参考文献
1) Tsushima T, Nasu Y, Saika T, et al. Optimal starting time for flutamide to prevent disease flare in prostate cancer patients treated with a gonadotropin-releasing hormone agonist. Urol Int. 2001;66(3):135-9.
2) Boccardo F, Rubagotti A, Battaglia M, et al. Evaluation of tamoxifen and anastrozole in the prevention of gynecomastia and breast pain induced by bicalutamide monotherapy of prostate cancer. J Clin Oncol. 2005;23(4):808-15.
3) Ozono S, Okajima E, Yamaguchi A, et al. A prospective randomized multicenter study of chlormadinone acetate versus flutamide in total androgen blockade for prostate cancer. Jpn J Clin Oncol. 2000;30(9):389-96.

 

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