ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
第6章 薬物療法

 
CQ3  限局性前立腺癌に対して内分泌療法のみの治療は有効か?

推奨グレード B
本邦で行われた臨床試験では,内分泌療法を行った症例の生存率が,一般人口の期待生存率との間に差を認めなかったことから,その有効性が示唆されている。また,海外の臨床試験においても内分泌療法の有効性が示されている。

 背 景
限局癌または局所進行前立腺癌患者に対する内分泌療法の効果を評価し検討する。

 解 説
T1b-T3前立腺癌に対し内分泌療法単独(LH-RH単独療法とLH-RHと酢酸クロルマジノン併用の2群)を行い経過観察した症例の全生存率は,年齢を調整した一般人口の生存率と差を認めなかった1)(II)。この研究は手術を行わなかった症例に限定されていることから,年齢や合併症などのバイアスが存在することは考えられるが,限局性前立腺癌に内分泌療法を行うことで一般人口の生存期間と同等の生存期間を得られるということは有効性が示唆される。また,EPC trialの報告2)(II)の中で,待機療法とbicalutamide150mg投与との比較が行われ,Time to progressionにおいては後者で明らかな有効性が確認されている。
本邦では,限局性前立腺癌のみならず,すべての病期において内分泌療法単独治療が行われていることが多い3)(III)が,限局性または局所進行性前立腺癌の治療法は,年齢,合併症の有無,社会的状況など多くの因子を考慮して選択されるべきである。また,海外の治療実態調査4)(III)においても,局所限局性前立腺癌に対する内分泌療法単独治療を受ける患者数は増加傾向を示している。この傾向が,本邦のみの特殊性であるかどうかは,今後の調査結果をみることが必要である。


 参考文献
1) Akaza H, Homma Y, Okada K, et al. A prospective and randomized study of primary hormonal therapy for patients with localized or locally advanced prostate cancer unsuitable for radical prostatectomy:results of the 5-year follow-up. BJU Int. 2003;91(1):33-6.
2) Wirth MP, See WA, McLeod DG, et al. Casodex Early Prostate Cancer Trialists'Group. Bicalutamide 150 mg in addition to standard care in patients with localized or locally advanced prostate cancer:results from the second analysis of the early prostate cancer program at median followup of 5. 4 years. J Urol. 2004;172:1865-70.
3) Cooperberg MR, Grossfeld GD, Lubeck DP, et al. National practice patterns and time trends in androgen ablation for localized prostate cancer. J Natl Cancer Inst. 2003;95(13):981-9.
4) Akaza H, Usami M, Hinotsu S, et al. Characteristics of patients with prostate cancer who have initially been treated by hormone therapy in Japan:J-CaP surveillance. Jpn J Clin Oncol. 2004;34(6):329-36.

 

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