ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
第5章 放射線療法

 
E.高線量率組織内照射(HDR),外照射併用療法
CQ6  〔有害事象と QOL〕イリジウム192による高線量率組織内照射,外照射併用療法における有害事象はどのようなものがあるか? また,QOLはどのように影響されるか?

推奨グレード B
HDRと外照射併用療法における有害事象の種類はHDR単独,外照射療法単独と同様である。最も特異的に多くみられる長期の合併症は尿道狭窄である。多くの症状は治療後1カ月目でピークとなり,その後回復していく。

 解 説
急性毒性の多くは一時的な下部尿路通過障害であり,通常α遮断薬により改善する。血尿,排尿痛などの頻度は多くない1)(IV)。急性直腸毒性頻度も多くはないが,外照射に関連すると考えられている。最も特異的に多くみられる長期の合併症は尿道狭窄であり0-14%の頻度とされる1)(IV)。これは,ニードルによる尿道の損傷,照射が原因と考えられる。
本邦での58例の前向き検討によれば,HDRと外照射併用療法により,観察期間中央値11カ月で,22%に様々な程度の直腸出血が出現した2)(III)。SF-36による治療後QOLの経時的変化では,1カ月目に有意に5つのドメインが低下するものの,すべては12カ月目には治療前値に回復する。IPSS/QOL scoresによる評価ではやはり,下部尿路通過障害などの排尿困難が治療1カ月目で増悪するものの,その後回復する。医師側のRTOGスコアによる評価はこのような患者側の変化をとらえることができなかった。
前立腺全摘除術と高線量率イリジウム組織内照射を受けた患者の治療後のQOLの比較検討では,一般的な健康状態(SF-36)では両者に差は認められなかったが疾患特異的な健康状態(UCLA-PCI)では尿路機能,性機能で高線量率イリジウム組織内照射のほうがQOLを落とさない治療法として有用であると報告3)(III)されている。


 参考文献
1) Morton GC. The emerging role of high-dose-rate brachytherapy for prostate cancer. Clin Oncol. 2005;17:219-27.
2) Egawa S, et al. Toxicity and health-related quality of life during and after high dose rate brachytherapy followed by external beam radiotherapy for prostate cancer. Jpn J Clin Oncol. 2001;31:541-7.
3) Jo Y, et al. Radical prostatectomy versus high-dose rate brachytherapy for prostate cancer:effects on health-related quality of life. BJU Int. 2005;96:43-7.

 

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