ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
第5章 放射線療法

 
D.高線量率組織内照射(HDR)単独療法
CQ6  〔有害事象とQOL〕イリジウム192による高線量率組織内照射単独療法における有害事象はどのようなものがあるか? また,QOLはどのように影響されるか?

推奨グレード B
有害事象は密封小線源永久挿入治療(LDR)と同等かより少ないという報告があり,その有用性が期待される。

 解 説
Martinらの経験では急性の消化管毒性は認められなかった。さらにグレード3の急性尿路毒性がみられたものは4%のみであった1)(III)。なお中央観察期間2.6年で,晩期のグレード3尿路毒性は5%に認められた。
192Ir(HDR)と103Pd(LDR)の単独療法の急性期,晩期副作用を比較した成績の報告がある2)(III)192Ir(HDR)65例,103Pd(LDR)84例を対象としている。大部分の患者はT1cかT2a,PSAは10ng/ml以下,Gleasonスコアは6以下で36%の患者は前立腺体積が大きいために内分泌療法を受けていた。中央観察期間は35カ月で,ASTROの定義による生化学的非再発率はHDR98%,LDR 97%であった。HDR単独(vsLDR)のグレードl-3の排尿困難は36%(vs 67%,p<0.001)頻尿54%(vs 92%,p<0.001)肛門痛6%(vs 20%,p=0.017)であり,LDRに勝った。頻尿や尿意切迫等の晩期毒性はHDR 32%,LDR 56%(p=0.004)であった。排尿困難,失禁,血尿については差がなかった。尿道狭窄はHDR 8%,LDR 3%(p=0.177),3年でのEDの割合はHDR 16%,LDR 45%であった。大部分の合併症はグレード1でグレード4はみられなかった。HDRは治療費が19%安かった。
HDRとLDR単独治療の生化学的制御率は同じであったが急性期の頻尿,尿意切迫,排尿困難,肛門痛の発生率はHDRで低かった。晩期の頻尿,尿意切迫,グレード2の直腸毒性もHDRで低かった。HDR単独療法は低リスクの患者に対して生化学的制御率は同等で毒性が低くコストも安い治療法であったと報告している2)(III)


 参考文献
1) Martin T, Baltas D, Kurek R, et al. 3-D conformal HDR brachytherapy as monotherapy for localized prostate cancer. A pilot study. Strahlenther Onkol. 2004;180:225-32.
2) Grills IS, Martinez AA, et al. High dose rate brachytherapy as prostate cancer monotherapy reduces toxicity compared to low dose rate paradium seeds. J Urol. 2004;171:1098-104.

 

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