ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

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第3章 治療総論


9 緩和医療

(2)疼痛対策

疼痛性骨転移は,前立腺癌の大きな問題となりうる。鎮痛薬,放射線,ステロイド,骨親和性放射性核種,硝酸ガリウムおよびビスフォスフォネートといった緩和治療のための多くの治療手段が実施されている2)。鎮痛薬が果たす役割は大きく,適切な薬剤の選択が必要である。一般的にはWHOが提唱する3段階のアプローチが広く行われている。簡単に解説すると第1段階としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を使用する。第2段階としては弱オピオイドとNSAIDを併用する。それでも疼痛の緩和が十分でない時は第3段階としてモルヒネ散あるいはモルヒネ徐放製剤を副作用対策を講じながら漸増する。癌性疼痛の管理については日本緩和医療学会からEvidence-Based Medicineに則ったがん疼痛治療ガイドライン(2000)が出版されているので参照されたい3)
痛みを訴える骨転移巣が比較的限局している時には骨痛緩和のための外部照射療法は,極めて有用である4)(II)。多発性骨転移により痛みを訴える場合に,以前は全身あるいは半身照射が用いられることがあったが,前立腺癌のような造骨性転移をきたす場合,ストロンチウム89のような放射性同位元素を用いることの有効性が報告されている。しかしながら本薬剤は日本では認可されていない。外照射とストロンチウム89のrandomized controlled trial(RCT)によると,疼痛緩和効果については局所または半身照射した場合の効果とほぼ同じであったが,ストロンチウム89は局所照射と比較すると新たな骨転移による疼痛を有意に抑制した5),6)(I)
前立腺癌の骨転移巣は造骨性であることが多く骨代謝および骨吸収能は亢進している。ビスフォスフォネート製剤は破骨細胞の骨吸収能を抑制することにより疼痛の緩和や病的骨折の予防に役立つ。1つのRCTではビスフォスファネート製剤の静脈内投与により病的骨折等の合併症の発生頻度が有意に減少し,疼痛緩和にも有用であったと報告された7)(II)。Systematic reviewによれば骨転移を有する前立腺癌では,診断された時点で本剤の投与を開始し継続して投与することにより,生存率には寄与しないが骨転移に関連する合併症の頻度を有意に減少するとしている。またビスフォスフォネート製剤は腸管から吸収されにくいため経口投与よりも静脈内投与の方が良いと報告されている8)(I)。日本ではビスフォスフォネート経口剤は骨粗鬆症にしか適応がとれていないが,注射製剤は悪性腫瘍による高Ca血症に対して適応がある。

 

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