ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

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第3章 治療総論


3 外科治療

(6)手術手技

現在,主に行われているのは恥骨後式前立腺全摘除術,会陰式前立腺全摘除術,腹腔鏡下前立腺全摘除術であるが,それぞれに短所があり37)(III),どの方法が最も推奨されるかという点についてはエビデンスが確立していない。
断端陽性率に関しては恥骨後式では尖部に,会陰式では膀胱頸部に,腹腔鏡では側後方に断端陽性がみられることが多いとの報告がある38)(III)。恥骨後式に特有の問題としては出血が多いこと,術後,鼠径ヘルニアの頻度が高いこと39),40)(III),会陰式では直腸の合併症が特徴的である39),40),41),42)(III)。腹腔鏡下前立腺全摘除術は経験が浅い段階では合併症を起こす頻度が比較的高いと報告されている43)(III)44)(II)45),46)(III)
尿禁制は前立腺全摘除術における大きな問題ではあるが,恥骨前立腺靱帯あるいは膀胱頸部温存を推奨するエビデンスはなく,膀胱頸部温存は被膜浸潤陽性のような癌の場合には切除断端陽性の危険が指摘されている47)(III)。大規模な予後調査では医療者側が思っているほど,尿禁制が良くないことが指摘されている48)(III)
神経温存に関しては安全な適応基準は確立しておらず49)(IV),さらに性機能の温存に関しては予想以上に温存されていない点が明らかにされている50)(I)
リンパ節郭清に関しては日本人のノモグラムが確立されることで,郭清を省略できる症例が同定可能かもしれない51)(III)。「拡大郭清により予後が向上するか」という点に関しては,そもそも前立腺全摘除術の対象とされた症例の病態により結論が異なる可能性が高い。RCTではあるが,low grade, low stageの症例が多かった研究では拡大郭清は意味がないとされている52)(II)。一方,high riskの症例が多い研究では拡大リンパ節郭清術に意味があり,外腸骨・内腸骨・閉鎖リンパ節を郭清することが望ましいとの報告もあり53)(III),結論は導けない。

 

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