ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
第2章 診断

 
CQ16  リンパ節の評価(N-病期診断)にはどのような検査が勧められるか?

推奨グレード B
リンパ節の評価(N-病期診断)は根治的治療が予定されている場合にのみ重要である。正確なリンパ節の評価は両側リンパ節郭清によってのみなされ,CTやMRIは感度の低さから限界がある。

 背景・目的
限局性前立腺癌では,リンパ節転移の有無が予後を大きく左右する。どのような症例でN-病期診断が必要であるか,その場合に推奨される検査法があるか検証する。

 解 説
まず,リンパ節の評価は,それが治療方針の決定に直接関わってくる場合にのみ行うべきである。これは通常根治的治療を希望している患者が対象となる。PSA高値,T2bまたはT3例,低分化癌,神経周囲浸潤などを有する場合はリンパ節転移のハイリスク例となる1)(IV)PSA測定だけでは個々の患者のリンパ節転移の有無の予測はむずかしい。治療前に行われる他の予測因子も同様である。リンパ節転移の存在の予測はPSA,直腸診,腫瘍のグレードの組み合わせによって信頼性が高まる1)(IV)2)(III)
このことは逆に,リンパ節転移の低リスク群(10%)についても当てはまる。PSAが20ng/ml以下でT2a以下,かつGleasonスコアが6以下ならば根治的治療を行う前のリンパ節の評価を省略してもまず心配はない1)(IV)
リンパ節の評価における最適の方法は開放手術または鏡視下手術によるリンパ節郭清術である。CTもMRIもその0-70%という低い感度のためその利用は限られている3)(IV)。しかしCTも同定可能な不整リンパ節に対する吸引細胞診を併用することによりその感度が高まる4)(III)。CTは特異度が93-96%と高いため,非常にリンパ節転移のリスクが高い症例には向いている。CTや吸引細胞診で陽性であった場合にはリンパ節郭清術は回避できる5)(III)


 参考文献
1) Partin AW, Yoo J, Carter HB, et al. The use of prostate specific antigen, clinical stage and Gleason score to predict pathological stage in men with localized prostate cancer. J Urol. 1993;150:110-4.
2) Partin AW, Mangold LA, Lamm DM, et al. Contemporary update of prostate cancer staging nomograms(Partin Tables)for the new millennium. Urology. 2001;58:843-8.
3) Oyen RH. Imaging modalities in diagnosis and staging of carcinoma of the prostate. In:Carcinoma of the Prostate. Innovations in Management. Petrovich Z, Baert L and Brady LW, et al(eds). Berlin:Springer Verlag;1996. p.65-96.
4) Van Poppel H, Ameye F, Oyen R, et al. Accuracy of combined computerized tomography and fine needle aspiration cytology in lymph node staging of localized prostatic carcinoma. J Urol. 1994;151:1310-4.
5) Wolf JS Jr, Cher M, Dall'era M, et al. The use and accuracy of cross-sectional imaging and fine needle aspiration cytology for detection of pelvic lymph node metastases before radical prostatectomy. J Urol. 1995;153:993-9.

 

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