ガイドライン

(旧版)前立腺癌診療ガイドライン 2006年版

書誌情報
第2章 診断

 
CQ5  前立腺癌の家族歴を有する人は積極的にPSA検査を受けるべきか?

推奨グレード B
直系家族(父または兄弟)に前立腺癌患者が1人以上存在する場合にはPSA検査を受けることにより早期に前立腺癌を検出する可能性が高まる。

 背景・目的
PSAと系統的多所生検の普及により,早期前立腺癌の発見数が増加している。その中には同一家系において複数例の患者が見いだされる例も増加してきている。

 解 説
前立腺癌に罹患するリスク因子はよくわかっていないが,一部には明らかになったものがある。その一つが遺伝的要因であり,もし当該者の直系家族(父または兄弟)に前立腺癌患者が1人いた場合,罹患リスクは2倍となる。それが2ないし3人になった場合は5〜11倍に上昇する1),2)(III)。親族の3人が罹患しているか,少なくとも2人が早い段階(55歳以前)に罹患した場合を遺伝性前立腺癌とすると,全前立腺癌患者の約9%がこれに該当するという報告もある3)(IV)
一方では,2万人を超えるPSA測定によるスクリーニングにおいて,前立腺癌の家族歴を有する群と有さない群との間に癌発見率に差はなかったとの報告もある4)(III)。しかし,家族歴の有無は有意なリスク因子であるとの報告は多い5)(II)直系家族(父または兄弟)に前立腺癌患者が1人以上存在する場合には,PSA検査を受けることにより早期に前立腺癌を検出する可能性が高まると考えられる。


 参考文献
1) Steinberg GD, Carter BS, Beaty TH, et al. Family history and risk of prostate cancer. Prostate. 1990;17:337-47.
2) Grönberg H, Damber L, Damber JE. Familial prostate cancer in Sweden. A nationwide register cohort study. Cancer. 1996;77:138-43.
3) Carter BS, Beaty TH, Steinberg GD, et al. Mendelian inheritance of familial prostate cancer. Proc Natl Acad Sci USA. 1992;89:3367-71.
4) Makinen T, Tammela TL, Stenman UH, et al. Family history and prostate cancer screening with prostate-specific antigen. J Clin Oncol. 2002;20(11):2658-63.
5) Punglia RS, D’Amico AV, Catalona WJ, et al. Effect of verification bias on screening for prostate cancer by measurement of prostate-specific antigen. N Engl J Med. 2003;349(4):335-42.

 

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