ガイドライン

(旧版)有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン

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VI.考察

 
6. 精度管理

有効性の確立したがん検診を正しく運用するためには、適切な実施マネジメントが必要となる。近年、高濃度低粘性バリウムが開発され、二重造影法を主体とした「新・胃X線撮影法(間接・直接)の基準」が日本消化器集団検診学会より発表された15)。しかし、同ガイドラインでは高濃度低粘性バリウムによる新撮影法についての検討は十分とはいえず、科学的根拠も明確ではない83)。胃X線検査による胃がん検診の有効性を保証するためには撮影法についても適切な評価を行うべきであり、その結果に基づいた精度管理が望まれる。
胃X線によるがん検診は、市区町村で広く行われているが、その方法は、間接撮影による集団検診と、直接撮影による個別検診に大別される。日本消化器集団検診学会が、1974年、1984年に公表した撮影法の基準は間接撮影を対象としたものであり84) 14)、直接撮影を対象としていない。このため、「新・胃X線撮影法(間接・直接)の基準」が公表されるまで、検診における直接撮影の撮影法は標準化されていなかった。また、個別検診が各地域の医師会を主体として行われていることから、対象の選定(有症状者)・撮影・読影についての問題点が指摘されてきた。集団検診と個別検診を比較すると、各々、がん発見率0.14%、0.18%、要精検率は10.7%、13.6%、精検未受診率14.2%、15.5%、未把握率6.8%、16.4%となっている85)。個別検診では要精検率や未把握率が高く、精度管理が適切に行われていない可能性が高い。有効性の確立した方法であっても、その成果を達成するためには、適切な精度管理が必要である。今後は、集団検診だけではなく、個別検診についても精度管理を推進しなくてはならない。
胃がん検診の精度管理を推進するためには、その要となる撮影法の基準を明確にし、標準化することは必須である。しかし、精度管理は、単に可能性のある方法を示し、普及させるだけでは運用できない。新たな方法については、従来法と比較した感度・特異度を検討した上で、不利益については定期的なモニタリングを行い、対策を講じる必要がある86)。ECにおいては乳がん検診について、精度管理のためのガイドラインが作成されており、その管理体制が整えられている。わが国においても、精度管理のための運用ガイドラインや目標値を設定し、目標に到達するための条件を明確にした上でモニタリングも含めた管理体制の早急な整備が必要である。

 

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