ガイドライン

(旧版)有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン

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VI.考察

 
5. がん検診におけるインフォームド・コンセント

胃X線検査による胃がん検診の実施については、その有効性が確立しているものの、十分な説明が行われていない現状にある。受診者には、死亡率減少効果について適切に説明するとともに、偽陰性や便秘などの副作用についても十分な説明を行う必要がある。特に、直接撮影と間接撮影では、放射線被曝の大きさや前投薬使用時の偶発症の可能性が異なることから、検査方法に合わせた説明が必要である。
胃内視鏡検査、ペプシノゲン法とヘリコバクターピロリ抗体については、現段階では、胃がん検診として死亡率減少効果は不明であり、対策型検診としての実施は勧められない。これらの検診がすでに実施されている場合には、本ガイドラインの結果を踏まえ、再検討が必要である。また、人間ドック、基本健康診査や職域検診に併用して、胃の健康度を測定する名目でペプシノゲン法とヘリコバクターピロリ抗体が行われる場合がある。ハイリスク群を同定し、リスクの状況に応じた検診メニューを提供することが期待されるが、こうしたハイリスク群同定からの一連の方法についても死亡率減少効果は証明されておらず、がん検診として極めて不明確な位置づけとなっている。
対策型検診として推奨されていない方法を用いて、任意型検診を行う場合には、がん検診提供者は、死亡率減少効果が不明であり、不利益が無視できないこと、を検診受診者に十分に説明する責任を有する。ただし、個人のリスクを低減することを目的とした任意型検診においては、受診者の価値観を踏まえた上で選択する余地は残されている。しかし、受診者の価値観を尊重するとは、科学的根拠を無視し、嗜好のみを重視した選択を行うということではない。この場合、医療従事者は科学的根拠を明確にした上で、受診者の選択を支援するための情報提供を行うことが基本である81) 82)。その上でなお、どのような検診を受診するかは、受診者の最終的な判断によるものであり、医療従事者が強要や誘導を行うことは厳に慎むべきである。すなわち、医療従事者の役割は、正しい判断を導くための支援を行うことにある。しかしながら、本来、評価の定まらない判定保留となった推奨Iの検診については、対策型・任意型のいずれの検診であっても、単なる発見率の報告などではなく、有効性評価を目的とした研究に限定して実施されることが望ましい。

 

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