ガイドライン

(旧版)有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン

書誌情報
IV.結果

 
2. 検診方法の証拠

3)ペプシノゲン法
間接的証拠

Dinis-Riberio らによりペプシノゲン法の精度に関するメタ・アナリシスが行われた54)。内視鏡検査を胃がんの診断法としている42文献(地域住民を対象としたもの27文献、人間ドックなどを対象としたもの15文献)において基準値をカット・オフ値とした場合、感度77.3%、偽陽性率26.8%であった。しかし、同研究では、偽陰性の把握のために同時法と追跡法の両者を同時に統合し、検討している。偽陰性の把握方法を明確にした、わが国におけるペプシノゲン法の精度の検討は、同時法が5文献55) 56) 57) 58) 59)あり、そのうち4文献55) 56) 57) 58)では全例胃内視鏡検査が行われている。また、職域の人事情報及びレセプト調査による追跡法の評価が1文献ある60)(表11)。同時法による感度は41.7%-85.7%、特異度は69.5%-84.5%である。ただし、カット・オフ値の設定により、その結果は異なる。Kitahara らは5,113人(男性2,456人、女性2,657人、平均52.5歳)を対象としROC 分析(receiver operator characteristics curves)による検討を行い、カット・オフ値として基準値が最も優れていることを示した上で感度84.6%、特異度73.5%と報告している58)。追跡法については、Hattori らは職域で4,876人にペプシノゲン法(カット・オフ値:中等度陽性)を行い、人事情報およびレセプトなどの調査から1年以内に発見された胃がん18人の検討から感度66.7%、特異度81.5%と報告している60)。ペプシノゲン法の感度は胃X線検査の感度を上回るとする報告が多いが、これらの研究は感度の算出にあたり、検診歴を考慮していない。従来から胃X線検査による胃がん検診は広く行われていることから、胃X線検査については過去に受診歴を有する可能性が高いのに対し、ペプシノゲン法ではほとんどの受診者がペプシノゲン法初回受診であることやX線検査の受診歴があることが予測される。各検診方法の滞在時間が異なることから、受診歴の有無により発見可能ながんの有病率は異なる。このため、精度の比較にあたっては、滞在時間や検診受診歴を考慮した検討が必要である。


表11 ペプシノゲン法の感度・特異度
報告者 報告年 文献No 偽陰性例の把握方法 カットオフ値 陽性率 感度 特異度
志賀俊明,他 2000年 55 同時法(全例内視鏡検査) 中等度陽性 29% 64% 72%
井熊 仁,他 1998年 56 同時法(全例内視鏡検査) 中等度陽性 15.5% 41.7% 84.5%
        基準値 23.4% 50.0% 76.6%
井上和彦,他 1997年 57 同時法(全例内視鏡検査) 中等度陽性 20.1% 71.5% 80.1%
        基準値 30.8% 85.7% 69.5%
Kitahara F, et al 1999年 58 同時法(全例内視鏡検査) 基準値   84.6% 73.5%
山ノ井昭,他 1997年 59 同時法(X線法または内視鏡) 基準値   72.9% 76.7%
Hattori Y, et al 1995年 60 追跡法(人事情報、レセプト) 中等度陽性 18.7% 66.7% 81.5%
カットオフ値
基準値:PG I≦70ng/mL かつ I/II比≦3.0
中等度陽性:PG I≦50ng/mL かつ I/II比≦3.0

 

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